Naomi's Letter

ソプラノ・佐竹由美のブログです。
定期的に公演や、近況をお知らせいたします。
どうぞごゆっくりおくつろぎください!

ディキンソンとの出会い

2006-09-17 | Weblog

 ディキンソンの詩との出会いは、コープランドの歌曲からでした。
それではコープランドの歌曲との出会いとは・・・というと、これは少し話が長くなりますが、大学院の時にH・リリング氏というバッハの作品で特に活躍されている指揮者によって行われた「バッハ・アカデミー」という講習会に参加したことから始まります。
この講習会は3年連続で日本で開かれましたが、その時に来日した講師人は当時バッハのソリストとしてヨーロッパでリリング氏と共に大活躍されている歌手達でした。そこで私はソプラノのアーリーン・オジェーさんに3年連続でレッスンを受けたのですが、これがまた素晴らしいレッスンで、私の今のテクニックの土台は、彼女からのメソードによるものがほとんどといっても過言ではありません。人柄も素晴らしく、気さくな方でしたがその歌はコントロールされた美しい声と品格に満ち溢れたもので、同時に行われたバッハカンタータのコンサートの度にうっとり。「マタイ受難曲」の公演で私は合唱の一員として講習会後に日本の主要都市を回ったりもしました。

 その後ヨーロッパに留学していた時にもシュツットガルトの彼女の講習会に出かけました。そのレッスンの会場で、初めてアメリカの作曲家S・バーバーの作品に触れ、これまたびっくり!!「なんて面白くて素敵な歌曲なの?」なんて思ってしまって、それからアメリカの作品に興味を持ち、少しずつレパートリーに。その後、彼女のCD「愛の歌」の中に入っていたコープランドの歌曲を聴き、感動。その詩と音楽がみごとにマッチした・・・ピアノの一音一音が水滴のように心に沁みてくるような・・・本当に美しい歌なのです!!一度是非皆さんにも聴いていただきたい曲です。ディキンソンの詩を記します。

He
art we will forget him                     心よ、あの人のことは忘れましょう。
You and I , tonight.                            あなたと私、今夜。
You may forget the warmth he gave.  あなたはあの人のくれた温もりを、 
I will forget the light                           私は光を忘れましょう。

When you have done, pray tell me,        あなたが忘れたら、教えてちょうだい 
That I my thoughts may dim            私の想いもそうできるように 
Hasite lest while you're lagging,            急いで!あなたがぐずぐずしていると 
I may remember him.                       あの人を思い出してしまうのです   
                  
                      エミリー・ディキンソン(J 47番)

アマーストでは、思いがけない出会いがありました!そのことはまた是非次回!