先週の日曜日、久しぶりに新宿のディスクユニオンのクラシック館でCD4枚の大人買いをしました。まあ全部中古だから新譜1枚分より安かったけれど、それでも4枚というのは「裕福な買い方」だと、若い頃はレジにならんだ隣のオジサンをみて思ったものでした。それがまさか自分になるとはね。
買った中にはグールドのトッカータのCD2枚組があります。かつてレコードで持っていたのですが、CDではなぜか買わずじまいでここまで来てしまった一品。高校から大学にかけて聴き続けた演奏でした。あれからグールドのトッカータの記憶がぱったり途切れたまま、30年が過ぎたってわけ。
日曜日に夜遅く東京から戻って部屋で聞きました。今、こうして聞いてみるととても新鮮に感じるものです。でもヤバイですね。もう完全にヤバイです。好きだったハ短調(BWV911)なんて、もう今の私の心にグサグサ刺さるようなそんな演奏。30年前のあの頃も、自分の進路や生き方にさんざん悩んで、グールドの神経質な、なんだかこちらが息を止めてしまうようなストイックな演奏から何から得たり、立ち止まったりして自分の立ち位置を確認して、でも一歩一歩確実に前に進んでいたんだと思います。(結局のところベタな音楽愛好家なんですよ。)
今は浜松での「静かなる傍観の一年」が終わり、再始動を始めながら、始めての経験にとまどって、毎日、毎日立ち止まって周りをしっかり見据えてがんばらなくちゃいけない時。やっぱりこのCDに手がいってしまったんですね。無意識です。買う予定なかったんだもの。でも30年の空白があって、突如、私の前に姿を現したグールドのトッカータは、かつて自分が悩んで悩んで選択した生き方が間違っていなかったことを私に気づかせてくれるような演奏です。あの頃、大きな夢を抱いて歩き出した少年は、30年たっても同じ夢を見続けて生きいるのですものね(進歩ねえー)。さあ、今日もがんばって仕事に行くぜ!
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