Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

小さくて軽いことはいいことだ――小玉川でのこと(5)

2007年07月10日 | 
 「小さい」、「軽い」とくれば、中身の詰まっていない果物なんて想像する人もいるだろうが、私たちの業界でこの二つの言葉は、きわめてポジティブに受け取られる。ともかくガムランは重い。ゴング・クビャルとよばれる大型編成の大きな楽器は、一台50キロ程度はあるのではないだろうか?もう20年近くこの重いガムランを運び続けてきたせいか、私などはぎっくり腰を4回、さらには腰痛が持病になってしまった。もうだいぶ前になるが、楽器運搬でぎっくり腰になった状況で、激痛を押して舞台に立ったこともある。ともかく楽器運搬は鬼門である。だからこそ、「小さい」、「軽い」なんて言葉を耳にすると心が躍るのである。
 今回、小玉川に持って行ったガムランは、ガムラン・アンクルンとよばれる小型の楽器だ。昨日のブログの写真をみるとわかるように、子どもが演奏するにはちょうどいい大きさだ。鍵盤は4枚しかなく、いわゆる「4音音階」である。私たちが演奏する曲は、本来5音音階の曲であるため、たいていの曲は4音音階用に編曲されている。5音音階の曲を4音音階にするわけだから、正直いってかなり無理がある。覚えにくい上、リズムに特徴がないとなんだかどの曲も同じように聞こえるのである。
 そうはいっても私はこの編成が好きだ。大学生のとき、最初に始めたのが、この楽器だったこともあるが、やはり小さいゆえにかわいらしい。そんな楽器への愛情からか、東京と沖縄に1セットずつ、自分の楽器を持ってしまったほどである。
 40代も半ばを過ぎて思うことだが、演奏が難しいなんてことが実に些細な問題に思えるほど、楽器が「小さい」、「軽い」ということはすばらしくありがたいことなのである。楽器の運搬に大型トラックは必要ない上、音工場への搬出入も簡単である。
 「40を過ぎたらアンクルン」なんて、健康食品か薬の宣伝用キャッチコピーのようだが、まさに今のわたしにはピッタリの言葉である。



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