Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ピアニッシモ

2009年06月27日 | 家・わたくしごと
 中学生になった息子が期末テストに音楽の筆記テストがあり、いわゆる西洋音楽の楽典、五線譜とかかわるさまざまな記号を覚えなくてはならずに頭をかかえている。彼の音楽活動の王道は口頭伝承のバリのガムランであるために、これまで楽譜を真剣に見つめて音楽を演奏してきたことがなかったのである。しかし西洋音楽の諸記号を学ぶこともまた、一つの音楽の記号論としては重要で、あくまでも文化相対主義的な立場から勉強しなくてはならない。
 ところで、先日、教育実習の研究授業を参観したときに、授業をする私のゼミ生が「ppはなんて読むかわかりますか?」と生徒に向かって問いかけた。すると生徒と何人かは「ピアニッシモ」と答えた。ちゃんとイタリア語で答えるなんて感心である。先生は続けて「この意味を知っている人?」と質問を続けた。すると、この質問にどうみても音楽とは縁遠そうに見えた生徒が大きな声で答えた。
「めっちゃ小さく!」
 この答えに参観者の私は動揺したが、生徒たちはその答えに驚くこともなく、教壇に立つわがゼミ生までもがニコニコわらって「そうだね。めっちゃ小さくだね。」と言って褒めている。なんとすばらしい対応であることか!動揺のあとにすぐさま感動してしまう。私だったら「君、日本語が変だよ」と真顔で答えてしまうに決まっている。
 大切なのは訳語の日本語表現なんかじゃない。重要なことは楽譜に書かれた意味を理解することで、それが「とても小さく」や「ひじょうに小さく」ではなく、「めっちゃ小さく」だって全く問題はない。現在の若者にとってその方がしっくりするならそれでいい。
 さてわが息子の試験の話に戻るが、家に帰って息子にこの話をしようかどうか迷ったのだが、やはり未だに言い出せずにいる。確かに「pp=めっちゃ小さく」、と書いたって×にはならないと思うが、やはり教科書的にはノーマルな答えではないし、芸術大学の教員として息子にそんな話をするのもいささか不謹慎なんじゃないだろうかと・・・。まあ、息子の試験なんだし、まずは教科書通りに覚えてくれや。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。