バリ人友人宅で日本人の友人とばったり出会い、まだ陽の高い時間から、この家で豚の血で赤く染まったラワールとビールの会となる。ラワールとはバリの儀礼料理の一つで、さまざまな香辛料と野菜、肉を混ぜてたべる独特な料理。実のところ、ぼくはラワール(特に豚の生血を使った)が得意ではない。ほとんどアレルギーのように体が拒否反応を起こすのである。これは20数年前からで、いっこうに体になじまないようだ。美味しいのだが、いったん体内に取り込まれてしまうと妖怪に変身してしまうものを自分ではどうすることもできない。
正直に食べられないことを二人に白状する。もちろん最初に「食べよう」とも「食べられる」とも言っていないので嘘をついたわけではない。家に着くなり用意されたのだから。しかしバリと20数年もかかわって豚血のラワールが食べられないというのはいささか恥ずかしい。マンゴーアレルギーとか、蟹アレルギーとかならば様になるが、ラワールの豚血アレルギー(とぼくは信じているのだが)なんて……。しかし、ぼくが自身のそうした弱点を話すなり「問題ない、問題ない」と笑顔でぼくの皿に盛られたラワールをバリ人の友人がおいしそうに食べ始めた。血とは無関係の肉料理だけをきれいに残して。
ところで、ビールとラワールというのは相性がいいらしい。バリ人はよくそんな話をする。昼からビールを飲む口実なのかもしれないし、これに科学的根拠があるのかどうかはよくわからないが、ぼくの理解は「ビールによる殺菌とアルコール消毒」である。昔、バリでお腹をひどくこわしたときに、「ビールを飲むといいですね。アルコール消毒になりますから」とまじめな顔をしてアカデミックな香りを漂わせて話をしてくれた日本人のバリ・ガムランの先輩のセリフをぼくがいまだに信じているからである。たぶん、この発言にも科学的根拠はないと思われるのだが……。
正直に食べられないことを二人に白状する。もちろん最初に「食べよう」とも「食べられる」とも言っていないので嘘をついたわけではない。家に着くなり用意されたのだから。しかしバリと20数年もかかわって豚血のラワールが食べられないというのはいささか恥ずかしい。マンゴーアレルギーとか、蟹アレルギーとかならば様になるが、ラワールの豚血アレルギー(とぼくは信じているのだが)なんて……。しかし、ぼくが自身のそうした弱点を話すなり「問題ない、問題ない」と笑顔でぼくの皿に盛られたラワールをバリ人の友人がおいしそうに食べ始めた。血とは無関係の肉料理だけをきれいに残して。
ところで、ビールとラワールというのは相性がいいらしい。バリ人はよくそんな話をする。昼からビールを飲む口実なのかもしれないし、これに科学的根拠があるのかどうかはよくわからないが、ぼくの理解は「ビールによる殺菌とアルコール消毒」である。昔、バリでお腹をひどくこわしたときに、「ビールを飲むといいですね。アルコール消毒になりますから」とまじめな顔をしてアカデミックな香りを漂わせて話をしてくれた日本人のバリ・ガムランの先輩のセリフをぼくがいまだに信じているからである。たぶん、この発言にも科学的根拠はないと思われるのだが……。