日本ではラジオを聞くことの方が多くあまりテレビを見ないのだが、バリでは部屋にいるとラジオ代わりにテレビをつけている。テレビは今のインドネシアの象徴だし、今何が起きているのか、何が流行しているのかを知るのに最適なメディアである。
バリでは十数年前から、インドで制作された長編歴史物語のマハーバーラタのドラマが放映されている。たぶんインドではさまざまなその手のドラマが作られているらしく、再放送だけでなく、新しいマハーバーラタが毎年放送されている。それはそれで驚きである。
最近気になるのは、アニメ版のマハーバーラタである。これもインドで制作されているのだが、それにバリの人の声優がインドンシア語でアフレコを行っている。というのは、マハーバーラタの登場人物は、ジャワとバリでは発音が異なるし、時には名前も異なるため、バリ仕様で録音しなければ、バリの人々には受け入れなれないからだ。もちろん放送局はバリTVであり、地元の放送局のプログラムである。マハーバーラタは、インドネシア人、バリ人といって大切な古典文学である。だからこそ、どんな形であっても多くの人々が親しめる環境が整っていることはすばらしいことだと思う。