Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

写真撮れ撮れ攻撃

2015年09月02日 | バリ
調査をするとき、特にその対象が神聖なものだったりするときは、写真やビデオの撮影には細心の注意を払う。事前に相手の許可を得るのは常識である。ところが、今回の調査で訪れた寺院の僧侶、この人が面白かった。
とにかく寺自慢がすごい。この寺がいかに歴史があり、昔からのものが残されているかを丁寧に歩きながら説明してくれる。でもこちらは民族音楽学者で、考古学や建築学の専門家ではないため、「はあ、そうでございますか」と伺うのみである。もちろんどんな分野も勉強である。
この僧侶、私がダランだと知ると、この寺には二箱、神聖なワヤンが保存されていて儀礼のときだけ使うのだ、と説明してくれた。「なるほど、よくあることだ」とうなずく。ところがである。
「よし見せてやるぞ」
とワヤンが置いてある場所(もちろん寺院の内庭)に案内してくれて、無造作にワヤンの箱をあけて、一番上の人形を手にとり、「写真を撮れ、撮れ」と勧めてくるのである。でもいいだろうか?これ「シワ・ムルティ」(シワ神の怒りの姿)なんですけど。写真に変なものが写ったりしないかどうか心配だったが、とにかく1枚撮影させてもらったのだった。記録をすることにものすごく神経質な地域や人がいる一方で、こんなあっけらかんとしたお坊さんがいるのもまた事実である。