うましあしかびひこじ
「うまし・あしかび・ひこじ」とは、どんな神の名義か?
この解釈に挑戦します。
A可美葦牙彦舅尊(古事記)
美味い、葦のキバのような、彦舅。
舅(キュウ、グ)は、臼に男を付けた漢字で、しゅうと、伯父を指します。
どうやら、臼+男で、地上に何かが生まれるようです。
B宇摩志阿斯訶備之神 うましあしかび。(日本書紀)
うましは、天の志のようで、天の恵みを才人に仕立てています。むろん、おいしい(美味)ともかけています。
まず、中国の通史を借りて来ます。
夷(えびす)
「夷は根本につくる意味である。根本とは、生命を恵み育て尊重し、万物が土地に根差してできる・・」とする。(通典)
天万神(あめよろず神)は、日・月・星、大気・雲・雨、風・雷・台風、虹・極光:オーロラなど。加えて、海、土、森、物(人間、動植物)をさします(地神も含む)、土をきれいにするミミズ類も含み、万物を指します。
以下、いくつか例示します。
葦の芽
一晩で15cmも伸びる。雨後の竹の子の様で、まるで生育の象徴です。
カビ
カビは、細菌類で、味噌、こうじ、酒、酢、醤油(ひしお)の素(もと)です。
毒性のカビもありますが、古来、人間はカビと上手に付き合ってきました。
きのこ類の菌もあるでしょう。
どうやら、このあたりが、アシカビの名義ではないか。
東夷は、酒好きで従順、話せばわかる相手と中国史に出て来ました。
酒殿の泉は、佐賀県三養基郡にありますから、酒造りは、神武以前からあるのでしょう。全国の天王という地名は、名水の出る所で、酒造りがみられます。
塩土老翁
蟹のシオマネキは、水際線に住んでいます。これを、老翁と呼んだりして擬人化。塩釜神社の祭神は、塩つくり神を指していますが、海陸を知った神でしょう。
鉢かつぎ姫とは、麦の殻あるいは豆の殻を鉢に見立てました。
同様に、カビ、きのこ、が生育するように、擬人化。星座も擬人化していました。
なます
景行紀の磐鹿六雁は、「なます」を作った。小刀と酢を所持していたのでしょう。膳人臣(かしわでしん)を賜った。
大地の毛
全国の山は、産鉄で、木を切って禿山になったが、スサノオと五十猛尊は、植林して樹木を回復させました。
樹木を「地の毛」という。面白い表現で、言い得て妙です。・・・比較例、鏡山:餅。
青人草
百姓(国民のこと)を、黎民(おおみ宝)とか青人草という。原田大六は青人草と呼ぶのを怒っています。そうではなく、逆であって、稲を育てて食わせる人や食わせる草を言ったのです。
なお、原田大六は、自著「雷雲の神話」において、津田左右吉の間違い解釈をくそみそに書いて批判しています。
物という漢字
物には、人間も含みます。地は、太陽光で動植物を育くみますが、また、土に還ってくるというのでしょう。人間も自然の一部という古代人の考えがよくわかります。
うましあしかびひこじ
総体を的確に表現できませんが、凡そ「生物の発生原」としておきます。具体的には、神代七代の「2~7」の神です。下記の<参考資料>を見て下さい。
天御中主・・・先学は、珍説愚説を露呈しました。
したがって、一般読者がこれらの説を信じて、書籍なり論文を書くと、ひどい目に会う事、避けられません。
また、津田左右吉ほか、日本神話の解明が出来ていないことを露呈しました。
そして、日の神とは別に、天照大神を太陽神とする誤りを、しています。
松本信弘、三品彰英、大林太良、吉田敦彦、上田正昭、白川静・・・
これをみても、日本神話に対する誤解が甚だしいと言えます。
結果、トンチンカンの学問となりました。
狭い日本、暗い日本の学問は、何処へ行くのか。
本居宣長の古事記伝
スサノオは、もと天神ですが、高天原から追放されて、地神(土神)の王者になった。宣長は、スサノオを大枉津日(おおまがつひ)とした。大枉津日とは、大気の状態で、日の神が曲がって見える様子をさし、日の一形態です。大直日、直日なども一形態です。したがって、本居宣長は誤ったのです。
大阪では、スカタンという「ことば」が直ちに発せられます。
神代紀を把握する事は、神の名義あるいは神格を明確にすることと同じです。
凡その事は、知り得ても、未だに解かれていないのです。
近代の教養人は、こんなことをやっておれないから、いきおい学者の意見を借りてきます。
ここに、大問題が発生しています。すなわち天王観、天皇観の問題です。
典型例は、戦前の皇国史観でした。
また西尾幹二「国民の歴史」は、日本の成り立ち把握を怠ったものです。西尾は、理由を書かずに魏志倭人伝をデタラメと看做しました。現に対馬、壱岐、伊都国も出て来ます。もってのほかです。
七海は、是は是、非は非を明確にしなければ、歴史がへんなところへゆくと想い、誤りを指摘します。七海が間違えば、当然、非となります。当たり外れを覚悟の上で、書いています。また必ず理由を付しています。
追記
古事記が、偽書というならば、スサノオの系譜が日本書紀にないので消えてしまいます。これでは、日本神話を解けません。
<参考資料>
日本古代の宇宙把握
天の御中主(天の北極点)を中心に天体が描かれています。
1天御中主神 あめのみなかぬし。天の北極点で北辰ともいう。現在:北極星。
2高御産巣日神 たかみむすび。高木神、高魂神とも書き、北斗七星。
3神産巣日神 かみむすびは、水平線を保つ神。
以上を、造化三神という。
4宇摩志阿斯訶備之神 天万神を生む源。下記の神代2~7をひとまとめにした名称です。
5天之常立神 あめのとこたちは、天体の天頂と地上の居場所との柱。天一柱ともいう。
以上を、別天神五柱という。(五柱は神の数の単位です)
神代7代(古事記)
1国之常立神
2豊雲野神・・・八龍
3泥土神・巣土神
4角蝕神・生野神[活杙神]
5大殿児神・大殿部神
6御面足神・敬畏神
7伊邪那岐・伊邪那美・・竜座の二星
神代7代(日本書紀)
1国常立尊
2国狭槌尊
3豊斟野尊・・・八龍
4泥土煮尊・沙土煮尊
5大戸之道尊・大苫辺尊
6面足尊・惶根尊
7伊弉諾尊・伊弉冉尊・・・淡路島一宮のイザナギ神宮・新宮市那智大社。
(注記)八龍:豊国主尊、豊組野尊、豊香節野尊、浮経野豊買尊、豊国野尊、豊カブ野尊、葉木国野尊、見野尊の順に生まれた。
「うまし・あしかび・ひこじ」とは、どんな神の名義か?
この解釈に挑戦します。
A可美葦牙彦舅尊(古事記)
美味い、葦のキバのような、彦舅。
舅(キュウ、グ)は、臼に男を付けた漢字で、しゅうと、伯父を指します。
どうやら、臼+男で、地上に何かが生まれるようです。
B宇摩志阿斯訶備之神 うましあしかび。(日本書紀)
うましは、天の志のようで、天の恵みを才人に仕立てています。むろん、おいしい(美味)ともかけています。
まず、中国の通史を借りて来ます。
夷(えびす)
「夷は根本につくる意味である。根本とは、生命を恵み育て尊重し、万物が土地に根差してできる・・」とする。(通典)
天万神(あめよろず神)は、日・月・星、大気・雲・雨、風・雷・台風、虹・極光:オーロラなど。加えて、海、土、森、物(人間、動植物)をさします(地神も含む)、土をきれいにするミミズ類も含み、万物を指します。
以下、いくつか例示します。
葦の芽
一晩で15cmも伸びる。雨後の竹の子の様で、まるで生育の象徴です。
カビ
カビは、細菌類で、味噌、こうじ、酒、酢、醤油(ひしお)の素(もと)です。
毒性のカビもありますが、古来、人間はカビと上手に付き合ってきました。
きのこ類の菌もあるでしょう。
どうやら、このあたりが、アシカビの名義ではないか。
東夷は、酒好きで従順、話せばわかる相手と中国史に出て来ました。
酒殿の泉は、佐賀県三養基郡にありますから、酒造りは、神武以前からあるのでしょう。全国の天王という地名は、名水の出る所で、酒造りがみられます。
塩土老翁
蟹のシオマネキは、水際線に住んでいます。これを、老翁と呼んだりして擬人化。塩釜神社の祭神は、塩つくり神を指していますが、海陸を知った神でしょう。
鉢かつぎ姫とは、麦の殻あるいは豆の殻を鉢に見立てました。
同様に、カビ、きのこ、が生育するように、擬人化。星座も擬人化していました。
なます
景行紀の磐鹿六雁は、「なます」を作った。小刀と酢を所持していたのでしょう。膳人臣(かしわでしん)を賜った。
大地の毛
全国の山は、産鉄で、木を切って禿山になったが、スサノオと五十猛尊は、植林して樹木を回復させました。
樹木を「地の毛」という。面白い表現で、言い得て妙です。・・・比較例、鏡山:餅。
青人草
百姓(国民のこと)を、黎民(おおみ宝)とか青人草という。原田大六は青人草と呼ぶのを怒っています。そうではなく、逆であって、稲を育てて食わせる人や食わせる草を言ったのです。
なお、原田大六は、自著「雷雲の神話」において、津田左右吉の間違い解釈をくそみそに書いて批判しています。
物という漢字
物には、人間も含みます。地は、太陽光で動植物を育くみますが、また、土に還ってくるというのでしょう。人間も自然の一部という古代人の考えがよくわかります。
うましあしかびひこじ
総体を的確に表現できませんが、凡そ「生物の発生原」としておきます。具体的には、神代七代の「2~7」の神です。下記の<参考資料>を見て下さい。
天御中主・・・先学は、珍説愚説を露呈しました。
したがって、一般読者がこれらの説を信じて、書籍なり論文を書くと、ひどい目に会う事、避けられません。
また、津田左右吉ほか、日本神話の解明が出来ていないことを露呈しました。
そして、日の神とは別に、天照大神を太陽神とする誤りを、しています。
松本信弘、三品彰英、大林太良、吉田敦彦、上田正昭、白川静・・・
これをみても、日本神話に対する誤解が甚だしいと言えます。
結果、トンチンカンの学問となりました。
狭い日本、暗い日本の学問は、何処へ行くのか。
本居宣長の古事記伝
スサノオは、もと天神ですが、高天原から追放されて、地神(土神)の王者になった。宣長は、スサノオを大枉津日(おおまがつひ)とした。大枉津日とは、大気の状態で、日の神が曲がって見える様子をさし、日の一形態です。大直日、直日なども一形態です。したがって、本居宣長は誤ったのです。
大阪では、スカタンという「ことば」が直ちに発せられます。
神代紀を把握する事は、神の名義あるいは神格を明確にすることと同じです。
凡その事は、知り得ても、未だに解かれていないのです。
近代の教養人は、こんなことをやっておれないから、いきおい学者の意見を借りてきます。
ここに、大問題が発生しています。すなわち天王観、天皇観の問題です。
典型例は、戦前の皇国史観でした。
また西尾幹二「国民の歴史」は、日本の成り立ち把握を怠ったものです。西尾は、理由を書かずに魏志倭人伝をデタラメと看做しました。現に対馬、壱岐、伊都国も出て来ます。もってのほかです。
七海は、是は是、非は非を明確にしなければ、歴史がへんなところへゆくと想い、誤りを指摘します。七海が間違えば、当然、非となります。当たり外れを覚悟の上で、書いています。また必ず理由を付しています。
追記
古事記が、偽書というならば、スサノオの系譜が日本書紀にないので消えてしまいます。これでは、日本神話を解けません。
<参考資料>
日本古代の宇宙把握
天の御中主(天の北極点)を中心に天体が描かれています。
1天御中主神 あめのみなかぬし。天の北極点で北辰ともいう。現在:北極星。
2高御産巣日神 たかみむすび。高木神、高魂神とも書き、北斗七星。
3神産巣日神 かみむすびは、水平線を保つ神。
以上を、造化三神という。
4宇摩志阿斯訶備之神 天万神を生む源。下記の神代2~7をひとまとめにした名称です。
5天之常立神 あめのとこたちは、天体の天頂と地上の居場所との柱。天一柱ともいう。
以上を、別天神五柱という。(五柱は神の数の単位です)
神代7代(古事記)
1国之常立神
2豊雲野神・・・八龍
3泥土神・巣土神
4角蝕神・生野神[活杙神]
5大殿児神・大殿部神
6御面足神・敬畏神
7伊邪那岐・伊邪那美・・竜座の二星
神代7代(日本書紀)
1国常立尊
2国狭槌尊
3豊斟野尊・・・八龍
4泥土煮尊・沙土煮尊
5大戸之道尊・大苫辺尊
6面足尊・惶根尊
7伊弉諾尊・伊弉冉尊・・・淡路島一宮のイザナギ神宮・新宮市那智大社。
(注記)八龍:豊国主尊、豊組野尊、豊香節野尊、浮経野豊買尊、豊国野尊、豊カブ野尊、葉木国野尊、見野尊の順に生まれた。