院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

テレビに子守りをさせることの是非

2013-10-17 05:23:57 | 教育

(オリンパス・フォトパスより。)

 私が中学生のころ、全家庭に白黒テレビが行きわたり、ぼつぼつカラーテレビが出始めた。

 団欒でテレビを囲む家庭が多かった。赤ん坊もテレビをおとなしく見ていた。テレビを見ていると、赤ん坊は騒ぎだすことが少なかった。

 当時、「テレビで赤ん坊を、あやしておいて大丈夫か?」という議論があった。赤ん坊をテレビ任せにするのは、育児をサボっていることにはならないか?また、発育に影響を与えるのではないか?などと心配された。

 あのころテレビに子守りをしてもらった赤ん坊が、すでに親になっている。当時の心配は、テレビは何も悪影響を与えなかったという確証もないまま忘れ去られた。

 最近の心理学的な研究では、テレビは親の代わりにはならないことが分かっている。テレビをは一方的に動画を送り出すだけで、赤ん坊はテレビとコミュニケーションしない。それが悪いことなのかは分かっていない。(少なくとも赤ん坊はテレビからは、心的交流についてなにも学習しない。)

 もうテレビによる赤ん坊への悪影響をだれも心配しなくなった。赤ん坊を後部座席に乗せることを前提に作られた車には、赤ん坊が見られるような位置にあらかじめテレビが付けられている。赤ん坊をテレビであやすためなのだが、それに文句を言う人はもういない。

(最近の研究では、母親が赤ちゃんを見ると赤ちゃんが笑い、赤ちゃんが笑うととっさに母親も笑うという瞬時の本能的なやりとりがあって、初めてコミュニケーションが成立することが分かっている。テレビにはそれができない。だから、ビデオによる英会話練習は、ビデオは瞬時に反応してくれないから、成人においても学習的な意味がないとする調査結果もある。たとえば、いつもお経を聴いているとお経が言えるようになるが、お経はコミュニケーションではないといえば分かりやすいだろうか。)