|新しく始めるお店・denaipenのこと|
お店(えほんや~)を始めたころはシンプルな仕事だと思ってたけど
やっていくうちにいろんな作業があることを知った。
面倒なことも、やりたくないこともいっぱいある。
でもその一方で、好きなこともいっぱいある。
その中でも一番好きなのが、お店番。
20年近くお店をやってきて、これはずーっと変わらない。
あらゆる作業の中で、これが一番たのしいと思える自分は
きっとお店向きなんだと思うし、幸せ者なのかもしれない。
そのせいで、ずっとお店番を人に任せられない。(一時的に任せることはできるけど)
完全に任せてしまったら、お店をやっている意味が、醍醐味がなくなる。
自分は、お店の話をよくする。
以前は「みんな、お店をやればいいのに」と本気で思っていた。
「お店をやりたい」なんていう人がいたら、
「やった方がいいよ!」と迷わず言っていた気がする。
それは、責任とか、儲かるとか、そういう世界とは程遠い感覚で
「自分が自分でいるだけなのに、社会が勝手にやってきてくれる」
すごい装置だと思っていたからだ。
自分の場合、これだけで生きることがずいぶん楽になるというか、楽しくなった。
ただ、あくまでも自分基準の話でしかないことは、今ならちょっとわかる。
話の路線を少しだけ変えてみる。
約10年前から、お店をやりながら出版も始めた。
出版はやりたかったことではない。きくちちきさんのおかげで、
ぼんやりと始まったイレギュラーな出来事だった。
始めてみると不思議なもので「なるほど、なるほど」と発見がいっぱいあった。
どうして今までこれをやってこなかったんだろう、とさえ思った。
たいへんなこともいっぱいあったけど、面白かった。
そして、大好きなお店番がますます面白くなった。
そう。
お店が出版をやるのは、きっと自然なことで、その逆もまた然りだと思う。
本を作った人は、お店をやってほしい、なんてことをちょっとだけ思っている。
いや、お店をやらなくても自分で売ってみると面白いんじゃないかと思っている。
心のどこかで「これを人に任せているなんて、なんてもったいない!」と
思っている自分がいる。店内で作家さんの展示をやってても、
これって店番してる自分が一番楽しいかもしれない、なんてことをたまに思う。
同時にちょっと申し訳ない気持ちにもなる。
これも自分基準の話であることは重々承知だけど、
こういうことを面白いと思える人は潜在的に結構いるんじゃないかと思っている。
自分の場合、この一連の流れが本を作る動機に繋がっているので
お店番も本を作ることも全部同じ出来事として扱っている。
新しい本の出版を三年休んだけど、来月からまた始めようと思う。
その前に新しい場所を始めたのは、これからやっていく出版のことと
無関係ではないのだけど、正直、どうなるかは全然わからない。
本を作る(作った)人が、本を自分で売る場があったらいいんじゃないかと図々しいことを思っている。
◉新しい場所・denaipenのHP
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