脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

メタ自己

2007年05月30日 05時33分08秒 | コギト

例えば、鏡の前で化粧をする女たち。素の私を去って、有りうべき自己イメージへと到達しようとする願望。私は不在となり、仕上げられたイメージとしての即自性を「実在」として生きること、この「代自性」。このメタ自己。

イメージへと自己を収斂することは、私に再会したいという鏡のナルチシズムを超克するだろう。深層的な深みをはぐらかして、「表面」と化すること。鏡は対自性を取り持つ道具ではなく、ある《不在のプレゼンス》を可能にする。

電車の中でさえ化粧をする女たち。彼女たちが特別なのではない。現代とは誰もが情報という巨大な鏡の前に、常に既に立たされているのだから。社会文化的なマス・イメージへと自己を着替えることを、自然と強要されているのだ。

存在の実存から、「代自」化へのベクトル。この見えない強度のシステム。情報という眼差しが、我々を閉じ込めている。合わせ鏡の永遠の饒舌の中へ。この繰り返される「表面」化。

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