脳辺雑記帖 (Nohhen-zahts)

脳病と心筋梗塞を患っての独り暮し、Rondo-Nth の生活・世相雑記。気まぐれ更新ですが、気長にお付合い下さい。

身体ごと音響につかりたい。

2021年03月28日 16時09分41秒 | 音楽
私のお気に入りのアルバム、モノ・フォンタナの『クリバス』が3月下旬
二枚組LPレコードで出るというので、某有名レコード店のネットショップ
に予約したら、入荷が7月に伸びたらしく、ガックリした。今日の音楽を
レコード盤で聴くなんて、私はなんてブルジョアなんだと、しみじみ思う。

音楽にだけは、少し贅沢をしたい。他に贅沢をしたい物事はないから。今は
賃貸アパート住まいだが、カネがもう少し豊かにあれば、充分に音楽を聴く
ために、楽器を弾くために、そのためだけに一軒家を買いたいとさえ思う。

世に人間が作り出したモノは様々あるが、自動車・飛行機・ロケット、原子
力発電、絵画・文學や演劇等の芸術、スポーツやダンス又は料理であれ、
おカネとか神という概念であれ、私が一番愛するのは、音楽或いは音楽的な
何かである。「愛」とか「自由」「平等」が一番尊いとは思うが、私は
人間よりもどうも「美」が好きであり、特に音響の美が好きである。

久しく図書館で音楽CDを借りてなかった。ニタイ・ハーシュコヴィッツが
リーダー・アルバムを出しているようで、早速に借りた。『アイ・アスクド・
ユー・ア・クエスチョン』『ニュー・プレイス・オールウェイズ』『レモン・
ザ・ムーン』の3点。ニタイは、イスラエル・ジャズ界の大御所、ベーシスト
のアヴィシャイ・コーエン・バンドの名ピアニストである。

アヴィシャイ・バンドの前任のピアニスト、シャイ・マエストロも素晴らし
かったが、『デュエンデ』や『フロム・ダークネス』のニタイに強く魅かれた。
どこかチック・コリア(亡くなって残念!)やキース・ジャレットと比較したく
なる、私好みのピアノなのである。

もう一人、最近のお気に入りピアニストは、fcpことフォックス・キャプ
チャー・プランの岸本亮。fcpは日本の若手のピアノ・トリオである。
エスビョルン・スベンソン(e.s.t.)をつい思い浮かべたくなるが、彼らもe.s.t.
をリスペクトしてるらしい。e.s.t.もfcpも、ジャズなのに、どこかノリが
ロックっぽいのが、共通点かな。

彼らの音は疾走感に満ちていて、岸本のピアノは繊細でスリリングだ。崖っ
ぷちで自動車のハンドル操作をしているかのような、そんなクリティカルに
うねり直進する、クライシスなピアノだ。近年にしては実に珍しく、私の体
が若い頃のように、彼らの音響にごくごく自然に揺れてしまう。でもロック
音楽の揺れとはやや違う。彼ら独特の、疾走する変拍子の波乗りのノリだ。

fcpは最近知ったばかりで『trinity』というのを聴いて、気に入った。しば
らくはfcpを聴き漁りたい。世間では今の音楽と言えば、ヒップホップや
ラップが主流なのだろうか。またはBTSみたいなのとか。新たなロック/ジャ
ズの領域(昔のフュージョンではなく)で、世界に通用する日本のバンドが出て
欲しいものだ。
















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