輪廻のように、レコードが廻って‥。

ブログを更新しないまま、もう２月末だ。
最近レコード・プレーヤーを買った。ミニ・コンポに繋げてＬＰレコード
を聴いている。１０代後半の頃に買ったビートルズ、ハード・ロック、
プログレ、ジャズ等。懐かしいと言うよりも、既に終わった時代というか、
還暦過ぎの私から見ると、自分の「前世」の思い出みたいにも感じる。

人生８０年時代と言われて久しい。私の亡き父母も、明治生まれの祖父母も
皆８０過ぎまで生きていたが、人生は寿命の延びのままに、単純加算の直線
で連続してゆくのだろうか？　私はどうも、古来の表現のように６０年位で、
暦が振り出しに戻っていく気がする。もう未来を目指して、世のモノ事の進
化に併せて生きるより、亡き人々やら来し方を慈しんで、馴染んで過ごした
今までのような時間を、ひとり緩やかに生きたいと思う。

だが世の中の方は、こんな私の気分とは逆に廻っていて、アンチ・エイジン
グだのと、いつまでも若々しくは結構だが、年金が出ないから７０歳まで働
けとか、「隠居」とか「年寄」を認めないような時代に見える。昭和の頃の、
貧乏故の世知辛さとは違う、何とも無機質で自動的な世知辛さを感じる。
コロナ時代の、「非接触」の世知辛さにも通じる空気感である。

先日、胃腸の内視鏡検査をした。実は、腸の内視鏡は生まれて初めてだった。
腸にはポリープさえなく、まぁ健康らしいが、胃に「ピロリ菌」がいた。
正常値の六倍もいたそうで、「慢性胃炎」の原因が今頃判明した。

医師に拠れば、ピロリ菌は５歳頃までの、胃液の少ない幼児期に感染すると。
そんな大昔から６０過ぎまで、胃の中に菌を飼っていたのかと、初めて知って
驚いた。想い起せば、人生で何度も胃腸に不調を抱え、当たり前のように生き
てきたものだが、もっと早く気が付けば、人生も変わったろうか‥。こんな
場所にも早くからの除菌が必要だったのだ。

明日から３月。アパートの庭では梅が咲いている。
こんな景色が気に入って住んでいる。
カーテン越しの春めいた陽射しに、小鳥のさえずり、
レコードはゆるゆると廻っている。
何だか、眠たくなってきた‥。