都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。論文や講演も。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

さいごの色町 飛田(井上理津子):迫力あるヒアリング、物足りない色街の分析とヒアリングの再構築が必要

2012-02-28 05:33:25 | 都市生活

文章・章立てが散漫なところもあり、初めはなんかと思ったが、ヒアリングによる、「事実」の積み重ねがあり読み返すと面白みが増した。<o:p></o:p>

筆者はヒアリングが好きだが、体系的なとりまとめや深耕は薄い。愛蔵している<o:p></o:p>

「大阪下町酒場列伝」(http://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E9%98%AA-%E4%B8%8B%E7%94%BA%E9%85%92%E5%A0%B4%E5%88%97%E4%BC%9D-%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%BA%95%E4%B8%8A-%E7%90%86%E6%B4%A5%E5%AD%90/dp/4480039899 )も何でこの店を選んだかとか、同じ様な店の比較があればと感じた。<o:p></o:p>

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 歴史は1912年の難波新地乙部(娼妓が中心)の焼失からはじまる。楼主代表、市会議員の上田中三郎と代表になっていた阪南土地建物により代替地として開発された。大阪の五花街は南地五花街(宗右衛門町、櫓町、阪町、九郎右衛門町、難波新地)、新町、北堀江、曽根崎新地と松島遊郭であった。1917年に飛田遊郭建設の知事認可となった。阪南土地建物は104戸の遊郭を建設し、地主からの寄付や出資と楼主への賃貸(将来的に所有権に変換らしい)としていた。<o:p></o:p>

 飛田の街は大門通に大青楼という大きな高級楼、その裏手は中青楼という中規模、さらに裏手は小青楼という小規模なものと東西の通が南北で格付けられていた。(何で「青」なのだろう)<o:p></o:p>

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 営業は「居稼(てらし)」、娼伎が往来に向かい格子のなかで外向きに、お客に顔を「照らす」、東京の張り店と同じ方式が特徴だ。お手軽な、性の専門で、早いとある。いわゆる色街の三業(置屋、茶屋、料理)はなく、店に娼伎が居るのは、「銘酒屋」などに近い形態のようだ。(本著ではこの考察がない)<o:p></o:p>

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1946年にはGHQより公娼制度廃止となり、「特殊慰安施設協会(RAA: Recreational and Amusement Association )」も東京には吉原、新宿、玉の井、立川、福生など13ヶ所にできたが、大阪は千日前で飛田にはなかった。<o:p></o:p>

 赤線は飛田、松島、今里、住吉、港となったが1958年の売春禁止法までであった。飛田のみが生き残り策として「娼伎、常駐、蒲団あり」から「芸妓、通い、蒲団なし」に転換した。他の赤線はなくなったが飛田は現在に至る。筆者は飛田を「20分間の擬似恋愛」としている。銭湯が多くあったのは、お客がもてる為に登楼前にさっぱりして、利用後に(相方が多数の客を相手にしているため)清潔にしたという。行きたいが、擬似恋愛の問題もあると感じていたいのではとある。<o:p></o:p>

 料亭百番にも入口に太夫の座る台座がある。これも「居稼(てらし)」なのだろうか。<o:p></o:p>

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さらにヒアリングは現在の仕組みを解き明かす。働く「女の子」を逃がさないのは借金で縛る、お金を使う楽しみを覚えさせる(ホストクラブも)、イベントを催すというのを解き明かしている。また、学歴(中卒と高校中退が多いとある)と学歴の循環を指摘している。<o:p></o:p>

新たな問題点として派遣の手数料でオーナーの変質や、今後のあり方の懸念も指摘がある。<o:p></o:p>

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実証派なのに、更なる伸長があれば、例えば、更なる実証や横断的な知見の証明などが期待したい。京の花街(大田達 平竹耕三 他) ( http://pub.ne.jp/n7ohshima/?entry_id=2265427 ) 銘酒屋( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8A%98%E9%85%92%E5%B1%8B )も参考になる。<o:p></o:p>

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このパワーはすごいし、読み物として楽しめる(飛田に行きたいというのではありません)<o:p></o:p>

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