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カレー移民の謎(室橋裕和):日本を制覇するインネパ料理の歴史・背景を深くルポにまとめる

2024-07-14 02:51:35 | 世情

 新大久保のルポも良かったが、これも力作だ。知見は:

・ネパールは出稼ぎが多く、GDPの29.9%は海外からの送金額(トンガ、ハイチに次ぐ3番目)、産業は観光しかない
・インネパの源流の料理はネパール人がインドで習得
・日本ではインドのムグライ料理が発祥アショカ(銀座→新宿)、バターチキンカレーはモティ(六本木)、ここから独立が多い。後のインネパ料理の基礎となりコピー、さらにインネパではバター・油を少なく、カシューナッツのペースト、ナンが定番に
・80年代、日本人の経営のクンピラ、89年渋谷創業2020年閉業のカンティプール
・90年代、コックのビザが取りやすくなりネパール人が増加、日本人×ネパール人夫婦が多い、西葛西にIT関連のインド人集積地形成(2000年問題対応)
・2000年代に「上陸審査基準」見直しにより500万円の出資で「経営・管理」の在留資格
・阿佐ヶ谷にクマリ2000年に開店、2013年ネパール人学校EISJ開校→荻窪に移転、中央線にインネパ増加
・第1世代は教育があり、移民仲介業・食材業など営む、2005年からの第2世代は料理の腕も不確かであり当時の店のコピーに走る、2012年に在留人数でネパールがインドを上回る、現在46千人と156千人
・2005年からインネパ増加、低価格とコピー・メニュー、お客のニーズを聞かないと発展がないのに会話能力がない、地域に溶け込む努力も不足、流行る店には女性対応が要点
・明確な方針と目標がないとインネパは成功しない:考える経営者が成功
・インネパ・オリジナルはハニーチーズ・ナンやガーリック・チーズ・ナン
・2010年頃、まずは雇われコック、ビザの関係もあり日本人の搾取、低給与と社会保障なし
・ネパールからの移民、家族化(妻と子供の呼び寄せ)、低価格勝負は奥さんのパートだより、子供の教育(EISJは5万円/月 もともとは英語圏)の日本での孤立化や生活の荒廃も問題(親の連携と対応が必要)、夜間中学なども対応(ダブル・リミテッド:本国語も現地語もあやふや)→筆者は移民として、受け入側の我が国として問題提起している、視点が優しい
・ネパールに残した親の介護も問題に、日本で夫がアル中になるケースも
・移民の出身地バングル調査:仕送りでバルグン・バザールやボカラという便利なところへ移住し過疎となる、もともと農業しかないため
・現在インネパは、カナダ移住志向、給与は倍で英語圏(円安もあるか)
・日本人でも支える団体や岡本有子さんなどの活動もある

 力作だ、分析的であり面白い


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