坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

中国 王朝の至宝展 秋に特別番組

2012年06月21日 | 展覧会
今年初めに「清明上河図」を目玉に故宮博物院展は大変な盛り上がりを見せましたが、日中国交正常化40周年を記念して開催される本展では、王朝文明に焦点をあてて、中国の各地の博物館から一級文物約6割りをしめる168件を紹介します。
紀元前2000年頃から黄河流域に誕生した初期的な王朝、夏、殷の時代から10世紀の遼、宋の時代まで民族の多元的な文化をみつめます。
中国という広大な領土、王朝も群雄割拠の体をなしていきます。
第1章の王朝の曙を例にとると、四川省の蜀の文明では、その文明の特色として金の仮面が登場します。金を多用した高度な文明をもつ蜀と夏・殷の青銅器類というふうに、その文明の特質となる文物を対比的に展示するのが特色となっています。
初めての統一王朝となる秦の時代の始皇帝陵兵馬ようも出品されスケールを生んでいます。



報道発表会では、この秋、NHKで放送されるスペシャル番組のナビゲーターを務める俳優の中井貴一さんも登壇。9年前に外国映画主演作となったのが中国の遣唐使役ということですべて中国語だったそうです。
そのときに1カ月以上も中国に滞在し、まだ現在ほど経済大国への道のりの入り口だった中国で感じたことは、中国人の笑顔、経済的な幸福感ではない何かをかんじたことが中国に興味をもったきっかけだそうです。
日本の文化のルーツである中国文明、隣国大国の偉大さと深さ、未知なる謎を問いかける展覧会となりそうです。

◆中国 王朝の至宝/10月10日~12月24日/東京国立博物館 平成館
 13年2月2日~4月7日・神戸市立博物館他