坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

雄大な自然観を内包する「シロクマ」

2012年06月06日 | 展覧会
ポンポンという可愛い名前をもつ彫刻家でシロクマやフクロウなど動物彫刻で知られるフランソワ・ポンポン(1855-1933)。
国内では、群馬の館林美術館で作品を見て印象に残っています。
芽が出るまでは、彫刻家のアシスタントをしながらの作家活動、ロダンの助手を独り立ち直前までやっていました。
エジプト彫刻や日本美術にひかれ、リアリズムを廃した単純化された簡潔さのうちに秘められた崇高さにひかれていきます。
「シロクマ」を制作したのは、67歳のとき、特徴的なラインがモダニズム的シャープさとひょうひょうとした生命の温もりが感じられます。
メトロポリタン美術館の〈動物たち〉の章に展示されます。

◆メトロポリタン美術館展/10月6日~13年1月4日/東京都美術館