坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

アラブ・エクスプレス展

2012年06月09日 | 展覧会
グローバル化が進む中、文化多元主義の視点も世界的に定着してきました。大型の国際展などでも分かるように、アラブの現代美術が世界的に注目を集めています。
民族、宗教、歴史、文化など多様性に満ちた社会の切り口が、同時代のアーティストの志向にどのように反映されているか興味深い点です。
日本で初めてアラブ現代美術に焦点を当てる本展は、約30組のアーティストによる、絵画、写真、映像、インスタレーションなどが展開されます。
アラブ地域と言うとテロや紛争、過激派というネガティヴなものを連想してしまいがちですが、現実的な社会は私たちと同様に日々の営みが続けられています。
掲載作品は、タレック・アル・グセイン「無題23(Dシリーズ)」デジタル・プリント。
そこには、社会問題へのテーゼも含まれているでしょう。個人主義的表現の枠組みからアラブと現代社会をつなぐ共通意識を作品群に感じることにもなるでしょう。

◆アラブ・エクスプレス展:アラブ美術の今を知る/6月16日~10月28日/森美術館(六本木ヒルズ)