坂野直子の美術批評ダイアリー

美術ジャーナリスト坂野直子(ばんのなおこ)が展覧会、個展を実際に見て批評していきます。

光の変幻 曽谷朝絵 Float

2011年03月07日 | 展覧会
印象派は固定観念ではなく、事物の影の色をその時々の変化で描き分けました。現代の印象派とも言える曽谷朝絵さん(1974年~)は、掲載作品のような「Bathtub」シリーズにより、2002年VOCA賞で大賞を受賞し、光によって多様な表情を見せる水の波紋などを描いて注目作家として活躍しています。
昨年は資生堂ギャラリーで「鳴る音」と題して、色とりどりに彩色された波紋のような形に切り取られた大小さまざまなカッティングシートを組み合わせた大規模なインスタレーションで、光が奏でる和音が空間に響きました。
日常の中に潜む何気ない光のプリズムをうっすらとした彩色を重ねてつくられる色彩のグラデーションは、見る者をゆったりと包み込んでくれます。
本展では、新作約10点(100号~150号)を中心にドローイングなどが発表されます。

◆曽谷朝絵 Float/3月29日~4月30日/西村画廊(中央区・日本橋)
 http://www.nishimura-gallery.com