ムルマンスク便り

-夏の完全白夜、冬のオーロラ- ロシア連邦北西部にあり北極圏最大都市ムルマンスク市(ムールマンスク)の現地情報をお届け。

故・渡辺大剛さんの慰霊碑の所在地とアクセス

2023-02-23 00:00:00 | 様々な話題
いやー
日本とそう変わらない気温でウホウホしてたら、
今週火曜から大寒波到来。
現地時間2月23日0時のムルマンスク市中心地の気温は、マイナス25℃
正月7日にもこんな気温になりました。
これで今期2度目の大寒波。
今週末まで続くそうです。
いまロシアの伝統行事マースレニツッア週間なのに・・・。

更に天気予報によると、
来週から1週間気温が0度近くになるけど、
風速20m前後の強風が吹き荒れるそう

来週の授業はZOOMに切り替えようかな・・・・

さて本題。

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判決文写しによると、幹線道路M-18で交通事故死された故渡辺大剛さんの慰霊碑は、
「カンダラクシャ地域のゼレノボルスキー町からカンダラクシャ市へ向かう車道1128 km+457 m 地点」
だそうです。

でも地元の人も「どこそれ?」とよく訊くし、日本の方々もローカル表現でよく分からないと思うので、位置情報とアクセスをご紹介します。


位置情報
渡辺さんが遺したサイクルコンピューター(位置情報を記録してくれる機器)によると、最後の情報は
北緯 67°00'29.8" (67.00827)
東経 32°12'40.8" (32.21133)
高度 71.81m

です。これは先日のブログでご紹介したクザクコフさんが記した位置画像情報と視覚的に一致します。

カンダラクシャ市から事故地点まで凡そ24km。幹線道路を挟んだ両側に小さい沼があります。慰霊碑は図中右側の沼のそばにあります。


アクセス情報
近郊電車とバスの2方法があります。

近郊電車で行く方法 (2022年4月7日更新)
カンダラクシャ鉄道駅から近郊電車「Кандалакша-Лоухи(カンダラクシャーロウヒ)」が運行しています。
ルチイ・カレリスキエ(Ручьи-Карельские)駅下車、徒歩15分程度(1km程度)。
でも運行数が非常に少ないのが欠点
  カンダラクシャ駅(18:00) → ルチイ・カレリスキエ駅(18:42) (月木金のみ運行、所要時間42分、75ルーブル)
  ルチイ・カレリスキエ駅(08:57) → カンダラクシャ駅(09:42) (月木金のみ運行、所要時間45分、 75ルーブル)

▲ルチイ・カレリスキエ駅から慰霊碑までのルート。

アフトバスで行く方法 (2022年4月7日更新)
カンダラクシャ鉄道駅から121番系統アフトバスが運行しています.
ルチイ・カレリスキエ(Ручьи-Карельские)停留所下車、徒歩5分程度(200-300m程度)。
  カンダラクシャ停留所 → ルチイ・カレリスキエ停留所(所要時間43分) ※カンダラクシャ停留所出発時間を表示してます。
      09:30 / 13:00 / 16:30 (水金)
      09:30 / 16:30 (月火木土日)
  ルチイ・カレリスキエ停留所 → カンダラクシャ停留所(所要時間43分) ※ルチイ・カレリスキエ停留所出発時間を表示してます。
      08:27 / 11:57 / 15:27 (水金)
      08:27 / 15:27 (月火木土日)
 
▲カンダラクシャ停留所位置。鉄道駅の近くです(左図)。
▲ルチイ・カレリスキエ停留所から慰霊碑までのルート(右図)。

バスの方が便数は多いんですが、それにしても1日3本とは・・・
車や自転車、バイクなどで行った方が便利ですね・・・

ムルマンスク行きの鉄道での人間模様を描いた映画「コンパートメント№6」公開中

2023-02-21 12:00:00 | 様々な話題
photo:www.theguardian.com

ムルマンスクへ向かう鉄道のコンパートメント内で出会ったフィンランド女性とロシア男性の人間模様を描いた映画「コンパートメント№6」。カンヌ映画祭でグランプリ受賞、ゴールデングローブ賞、アカデミー賞などなど獲得の素晴らしい作品。2月10日から日本で上映されているそうですね。ロシアでも2021年に上映されてました。
https://comp6film.com/

予告編を見てきましたけど一般的なロシア人男性の印象って程度の違いはあれ、ユーリー・ボリソフが演じた、ネタバレさんも記していた、まさにあんな感じです。

映画レビューも・・・

この型破りなラブ・ストーリーは、
まるで北極圏を舞台にした
リチャード・リンクレイター作品のようだ。
- Empire Magazine

この映画の美しさと説得力は、
心に刻まれた小さな瞬間、
偶然の出会い、
見知らぬ人との会話にある。
- Midnight East

世界の見方が
変わるような映画。
- Awards Radae

素晴らしい・・・
ご覧あれ・・・

Харухиса Ватанабэ - 10 лет (渡辺大剛・あれから10年)

2023-02-19 11:57:50 | 様々な話題
2012年12月26日朝10時ごろ、ムルマンスク州を縦断する幹線道路M-18の路上で、セブンサミッター(7大陸最高峰登頂者)でもある日本人冒険家・渡辺大剛さんが自転車旅路中に交通事故で他界されてから、2022年で10年経ちました。

2013年9月初めに事故地点に慰霊碑設置、ご遺族をお呼びして、そこからムルマンスクまでサイクリスト達によるメモリアルツーリングを開催しました。
    
当時のことをまだ覚えてくれているムルマンチャーネやロシアの方々は結構いて、M-18通行がてらに慰霊碑に立ち寄り画像と共にメッセを時々戴きます。

こんな画像つきメッセが

▼クザフコフさん(モンチェゴルスク市在住)からのメッセ
「見つけたぞ!知らずに4年も通過してたなんて。日本のサイクリストの慰霊碑だ・・・。ゼレノボルスキー。M-18北方向に1127km+20m地点、道路から7m離れたところにあった。」


▼カルポワさん(サンクトペテルブルグ市在住)からのメッセ
「こんにちは!もう随分この悲劇を知ってるわ。何も変えられなくてとても残念。渡辺大剛は私達の心の中にいるわ!


▼リパトニコフさん(カンダラクシャ市在住)からの返信
「毎年慰霊碑参りに行ってるよ(写真は2020年撮影)。」


大雪に埋まっているよく見えない期間も勿論有るんですが、雪がない間はこのようにお供え物(ぬいぐるみ?)もたくさん置かれています。

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2022年で10周年になりましたので、弊NPO法人「ムルマンスクの中の日本」は周年行事「Харухиса Ватанабэ - 10 лет (渡辺大剛・あれから10年)」を開催致しました。ムルマンスク州内3都市(カンダラクシャ市、オレネゴルスク市、ムルマンスク市)で写真展をリレー開催。写真展初日2日は彼の生い立ちや業績、ご遺族・ご友人などのインタビューを交えたドキュメンタリービデオを公開。また日本文化の普及活動も致しました

詳細は追ってご紹介します。

国民的ロックバンド・ズヴェーリ(Звери) 来ムル

2023-02-15 11:36:23 | ムルマンスク市・街の表情
新型コロナが猛威を振るい、収まりつつあるところにウクライナ侵攻。
この大ハプニングのためか、キャンセルになったコンサートが結構ありました。

先ず毎年開催されているムルマンスク市創設記念日。いつもは終盤は旬の有名アーティストのコンサートで盛り上がります。
でも昨年はそれがありませんでした。丁度その頃に退社して通りかかったんで見てみたら、まるでカラオケ大会(?)の様子で、盛り上がりイマイチでした。経費削減?!

その大ハプニング期間、4組の有名アーティストのコンサートがキャンセルされました。
皆さんご存知か分かりませんが列挙しますと、
ズィヴェルト(Zivert)・・・ハスキーヴォイスが魅力、2017年デビューのダンスポップアーティスト。
エゴール・クリード(Егор Крид)・・・HIPHOPで有名なブラックスター社からデビューした甘いマスクのアーティスト。
バスタ(Баста)・・・実業家でもあるラッパー。
ルーキ・ヴェルフ!(Руки вверх!)・・・2000年代前半にスーパーヒットを飛ばした2人組ユニット。


ズィヴェルトは2度キャンセル。1度目は新型コロナで興行制限を受けたためで、2度目は自身が罹ったため。ファンは2020年から彼女のコンサートを心待ちにしていました。
ルーキ・ヴェルフ!は、昨年3月18日に一度予定されてましたが、5月13日に延期、そしてキャンセル。
バスタは、2020年3月に一度予定されてましたが、10月に延期、そしてキャンセル。
エゴール・クリードにいたっては、2016年から予定していましたが、何度も何度も延期を繰り返し、最近は「私と私のチームの手に負えない理由」により、2022 年 11 月 6 日に予定されていたコンサートはキャンセルされました。

更にタチが悪いことに、この一連のコンサートドタキャンで会場側は、チケットの返金を断固として拒否しているのです。購入したファンの皆さん泣き寝入り。SNSにはドタキャンアーティストへの罵詈雑言と嗚咽メッセの嵐

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なので・・・・今回も非常に心配されてはいました。
でも2月12日当日、ちゃんと来てくれました!
国民的ロックグループ・ズヴェーリ(Звери)は2000年から音楽活動しています。
今回は20周年記念ツアー。新型コロナなどで邪魔されたので、今年の開催となったようです。
親子2世代でファンという家庭も多いらしいです。
「До скорой встречи(また近いうちに)」「Всё, что касается(僕らに関わること全て)」「Я с тобой(君と一緒。※ロシア語研究で知られる沼野恭子先生が担当された番組「NHKロシア語会話」のエンディングだったかオープニングだったかで使用されたこともあります)」などが代表曲。
MVで繰り広げられるラブコミカルストーリーと共に世の女性たちのハートを掴んだばかりか、同性にも共感されています。
更にVoのローマは当日ムルマンスク市公認オリジナルTシャツを着て登場。ムルマンチャーネの心をしっかり掴みました

▼コンサートの模様。全曲お馴染みだったため、リスナーはずっと一緒に口ずさんでたとか。


▼MV「Я с тобой(君と一緒)」


▼MV「До скорой встречи(また近いうちに)」



国際女性デーである3月8日には、ポリーナ・ガガーリナが(Полина Гагарина)来ムルするそうで、いま街中やSNSでよく広告を見かけます。
ポリーナ・ガガーリナはユーロヴィジョンで準優勝を獲得した経験を持つ、実力派アーティスト。

彼女はドタキャンせず、ムルマンチャーネの期待に応えてくれるでしょうか?!

ムルマンスク空港 2025年にリニューアルオープン

2023-02-07 12:00:00 | ムルマンスク市・街の表情
ソビエト時代を髣髴とさせるその外観と内装。
当地へ一度は足をお運びになったことがある方、またソ連懐古趣味がおありの方には、ジワリ来ることでしょう。
現在のムルマンスク空港です。




その我らがムルマンスク空港が、2025年にリニューアルオープンするそうです
そのイメージ図がニュースに出たのでご紹介」。

▼空港ビル外観。イカスじゃないですか・・・・ロストフやアドレルの空港を思い出します。


▼空港ビル前の駐車エリア。広々整然としています。素晴らしいじゃないですか・・・。大雪と違法駐車でカオスにならないのでしょうか・・・。


▼空港ビル内の様子。マジですか?!もうモスクワの空港思い出しちゃいます。一気に都会感・・・。


▼空港ターミナルの様子。これはもう、南の大都会の空港ターミナルそのもの!



今夏、ターミナル建設の請負業者を選定し、建設に 40 億ルーブル以上が割り当てられたそう。
空港再建により、空港受入能力が向上し、最新レベルのセキュリティが提供され、乗客サービスの質と手荷物処理の速度が向上するそうです
期待してまっす。

でも・・・えっ?・・・あれ?
ムルマンスク市内のバス停の暖房の件は・・・・?まだ肌寒いんだけど
どうして極寒の地なのに、暖房が利かなくて、ドアが無くて、脚部から暖房の風が外に抜ける構造の待合室を購入した?
実際は・・・なんか一応働いているみたいなんだけど、ニット帽を取れば上部から弱~~~い放射熱を感じるような、感じないような。
頼んますよ~、暖房強くしてくださいな~

天文学者トゥロシェンコフ氏 逝去

2023-02-04 18:00:00 | 様々な話題
ムルマンスクの天文学者ヴィクトル・エヴゲーニエヴィチ・トゥロシェンコフ氏が、2023年1月31日に逝去されました。享年60歳でした。

トゥルシェンコフ氏は1962年6月7日、ウクライナのヴィーンヌィツャ州生まれの天文学者。彼がこよなく愛した詩人プーシキンの生年月日と1日違いであることを非常に誇りに思い、また詩人でもありました。

幼少の頃から天文学が好きでしたが、先天性の重い病気を患っていて、彼の運命は常に困難の中にありました。彼のライフワークは主に太陽であり、晴れれば毎日太陽を観察し、研究を続けられました。 そして、現代のようにオーロラ出現予報が精密且つスマホで手軽に入手できる時代じゃなかった頃から独自に研究し、そしてオーロラ出現確率が高いと算出された日には、自宅近くの丘に登り写真に収めるという日々を過ごされていました。

地元の単科大学や学校で天文学を教えたり、子ども天文教室「アルタイル」と地元の天文サークル「オリオン」を創設し愛好家らと共に活動。また全ロシア天文測地学協会ムルマンスク支部の支部長も勤められました。

若干の日本人(留学生や日本語教師の皆さん)とも交流があり、「天文おじさん」「詩吟おじさん」と言って親しんでいました。
また2000年代には、某雑誌の企画で日本のプラネタリウムクリエイター大平貴之氏と対談されたこともありました。

トゥロシェンコフ氏については、弊ブログでも取り上げさせてもらったことがあります。
 ムルマンスク州に大火球落下(2014年4月21日付)
 https://blog.goo.ne.jp/murmansk/e/811a65194f59846a564c727a273ae3ca

海外旅行者のバイブル「地球の歩き方 ロシア編」中の「ムールマンスク」ページで掲載されているオーロラ写真(2016-2017年版にはその写真があります。今はどうなのかな?)は、彼の作品です。
その節は大変お世話になりました。

現地時間2月4日正午に葬儀です。参列してきます。天国で安らかに。合掌。

▼青少年図書館で開催されたオーロラ写真展で在りし日のトゥロシェンコフ氏(2017年4月12日付)

神の洗礼の日

2023-02-01 00:10:30 | ムルマンスク市・街の表情
毎年の伝統行事「クレシェーニエ・ゴスポドゥネ(Крещение Господне)」が、1月18~19日にムルマンスク市北部にあるセミョーノフスコエ湖で開催されました。
神の洗礼の日、とでも訳しましょうか。
以前弊ブログでも何度か取り上げてきました。
分厚く凍てついた湖の氷を切ってスペースを作り、そこで行水()するのです。

どうしてそこで行水することが神の洗礼に関係するのかというと、ゲローエフ・セヴェロモルツェフ幹線道路を挟みこの湖の反対側にドーン

スパス・ナ・ヴァダフ聖堂(Церковь Спас на Водах)が鎮座しているからだとか。
現在は、この聖堂の隣に別の聖堂を建設中。この乱世、もうトニカクホントに ネ申 束頁 み・・・といったところでしょうか。

先ずは司祭による洗礼式。そして参加者は、女性は湖畔にある木造小屋(セイウチの家、という名前らしい)で、男性は近くの仮設テントで水着に着替えます。その後、このクソ寒い中、軽く泳いだり行水したり、そして十字を切ってキリストに祈りを捧げます。毎回驚きますが、参加者の皆さん、水温がプラス数度程度の温度なんだけど、躊躇なく入れるんですよね。行水後は各着替え室に戻り、暖を取りながら着替えます。
ビデオ中、最後に行水している男性はムルマンスク州知事、アンドレイ・チビス氏です。