ムルマンスク便り

-夏の完全白夜、冬のオーロラ- ロシア連邦北西部にあり北極圏最大都市ムルマンスク市(ムールマンスク)の現地情報をお届け。

新型コロナ・インフルエンザとの闘いー4 in ロシア

2021-07-23 23:25:27 | 様々な話題
東京オリンピックが始まりましたね。酷暑とコロナ禍で厳戒体制の中、美しく行われていました。祖国での開催は、異郷の地に住む者にじんわりと感動を与えてくれました。


その新型コロナですが、世界的に新型コロナは変異を続け、残念ながら終息の兆しがまだ見えません。ワクチン接種が進んでいるロシアでも変異種が確認されました。
ロシアでは、夏休みが終わる8月下旬まで多くの人々が保養地で休暇をとっています。9月から学校が始まりますが、どうなるでしょうか。

日本であまり報道されていない、ロシア(主にムルマンスク州)での最新の新型コロナ関連情報をお知らせします。

1)感染状況
 ロシア国内全体では、一般向け大規模接種開始後は徐々に右肩下がりになりましたが、デルタ株が侵入してからまた右肩上がりです。7月22日現在では一日の新規感染者数が24471人です。3ヶ月前の4月18日の時点では8632人。
 7月23日時点でロシア在住の22639820人が新型コロナワクチンを接種しました。これは全国民の15.49%に相当します。
(情報元:https://coronavirus-control.ru/statistika-vakczinaczii/)

 ムルマンスク州内では、一般向け大規模接種開始後は徐々に右肩下がりになりましたが、デルタ株が侵入してからまた右肩上がりです。7月22日現在では一日の新規感染者数が261人。2ヶ月前の4月18日の時点では31人。

 7月23日時点で158000人以上が新型コロナワクチンを接種しました。これは全州民の21.56%に相当します。
(情報元:https://coronavirus-control.ru/statistika-vakczinaczii/)


▲図1-1ロシア国内での新規感染状況(情報元:Yandex)


▲図1-2ムルマンスク州内での新規感染状況(情報元:Yandex)


2)現在ロシアで承認されているワクチン
 ロシア発の新型コロナワクチンは現行のスプートニクV(正式名ГамКовидВак)エピヴァクコロナ(ЭпиВакКорона)コヴィヴァク(КовиВак)のほかに、移民対象に開発されたスプートニク・ライト(Спутник Лайт)が登場しました。

しかしここへきて、コヴィヴァクの人気がとても高くなっており、スプートニクは少し人気が落ちています。エピヴァクコロナは相変わらずの不人気です。コヴィヴァクに人気が出てきた理由は

a)生ポリオワクチンを開発し、欧州や日本にも広めた「チュマコフ名称ポリオ・ウイルス性脳炎研究所」作製だから。ポリオを題材にした露映画「Шаг」や邦画「われ一粒の麦なれど」は、この研究所と日本とのストーリーを基にしている。
b)死んだ新型コロナウイルスを元に作製した不活性ワクチン。
c)露の他のワクチンと比べ深刻な副作用が報告されてなく、このため医者は喘息やアレルギー疾患など基礎疾患がある患者に薦めている。

スプートニクVが落ちてきている原因は有効性を疑われているのではなくて、ヒトアデノウイルスをベクターにして作製されたものだからです。これは血栓症などで重篤死亡例が目立つアストラゼネカ製のやり方と同じです。


3)日露合作映画「Шаг(シャグ)」
見つけました!生ポリオワクチンを題材にした日露映画「Шаг」です!コヴィヴァクを開発した「チュマコフ名称ポリオ・ウイルス性脳炎研究所」と日本とのストーリーです。
主演は、
 フィラートフ・レオニード(生ポリオワクチン開発者、グーセフ・セルゲイ役)
 栗原小巻(2児の母で、長男をポリオで亡くし、残る次男をどうにかして疫病から守ろうと奔走するケイコ役) 他
▼Шаг (4К, драма, реж. Александр Митта, 1988 г.) ※「Посмотреть на Youtube」のリンクをクリックしてご覧ください。



4)あらゆる新型コロナワクチンの開発
 世界初の動物用ワクチンカルニヴァク・コヴ(Карнивак-Ков)は既に4月に生産開始され、モスクワ市、リャザン市、ブリャンスク市の動物病院に到着しており、更にサンクトペテルブルク市、チェリャービンスク市、クリミアの動物病院にも順次発送されるとのことです。


5)接種参加方法
接種参加方法は、まず予約します。方法は3つ。予約登録してすぐ接種できるわけではありません。1週間ぐらい待ちます。
ア)ゴスウスルーギから予約する。ゴスウスルーギとは、一元化されたポータルサイトで、各種行政手続きなどがオンライン上で可能。14歳以上のロシア在住者はアカウントを有することになっています。日本で言うマイナンバー制のようなものです。
イ)新型コロナ専用コールセンターに電話して予約する。
ウ)医療機関へ直接行って予約する。
予約日に第1回目のワクチンを接種し、次回の接種日時と緊急時連絡先が書かれたシートをもらいます。
次回接種日に第2回目ワクチンを接種して終了です。

接種が全て終わると、ゴスウスルーギからワクチン接種証明書(ロシア語・英語ともに)が発行されます。ダウンロード&印刷して保管します。

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私事ですが、私も先日ワクチン接種してもらいました。1回目2回目共に接種後倦怠感と腕の痛みが少しありましたが、発熱・咳・鼻水・くしゃみなどの症状は無く、深刻な症状は全くありませんでした。
これが私のワクチン証明書です。


皆さんお身体お大事に。

ムルマンスク州の植物(2)

2021-07-22 20:20:04 | ムルマンスク市・街の表情
夏至が過ぎました。
ムルマンスクでは明るい夜がまだ続いています。
TOPの写真は、真夜中のムルマンスク市中心街。

7月上旬には、気温が+30℃にもなり、北極圏とは思えないほど暑い日々が続きました。
暑い快晴が何日か続くと、滝のようなにわか雨が降り、雨が上がると虹が見えます。
下の写真は、真夜中に現れた虹です。


今は+10~+20℃台。時折涼しい風が吹いたり冷たい雨が降ります。

タンポポの季節は終わり、今は次のような植物が繁生しています。

ライラック(Сирень)
白や桃色、紫色などの花房が美しく、芳香漂う木です。


リューチク(Лютик ползучий)
キンポウゲ属の黄色い花で、花は直径1cm、葉は菊に似ている丈の低い草です。
雌しべが黄緑色のものや、花弁に艶があるものもあります。


ロマーシュカ・パフーチャヤ(Ромашка пахучая)
「愛してる愛してない占い」で花弁を全部むしってしまったのか、悪がきが花弁を全部むしってしまったのか・・・ではなく、この花はもともと花弁がありません。強いて言えば、見えている球形の部分が全部花弁を含む花なのです。丈は10cm前後で、訳すと「香りがあるカモミール」。実際球形部を潰すと、青りんごみたいな淡い香りがします。


トゥイシャチャ・リースニク(Тысячалистник)
「1000の葉」という意味を持つ草。葉がシダ植物のそれのようで、また花は白く花房状になり、一輪が直径5mmくらい大きさです。ブーケのカスミ草代わりに入れても綺麗です。


イワン・チャイ(Иван-чай)
日本名はヤナギランですが、ロシア名は名前からして「イワンさんのお茶」なのか「イワンさんにお茶」なのか「おいイワン、お茶くれ」なのか。奇妙な名前ですが、イワンは柳(イーヴァ)のこと。この草は。また蜜蜂がこの花から作る蜂蜜は「キプレイ(Кипрей)」といわれ風味共にとても上品で、菩提樹の花から作られる「リーパヴォイ(Липовой)」と並んで、人気の蜂蜜です。また若い葉や茎の部分にセルロースの他に、レクチン、ビタミンC(レモンの5~6倍)、糖分、有機酸、ペクチン、フラボノイド、アルカロイドなどの栄養成分と、微量のミネラル(鉄分、銅、マンガン、ニッケル、チタン、モリブデン、ホウ素など)が含まれています。草先端部にはタンパク質、リン、カルシウム、コバルト塩、カリウム、カルシウム、リチウムなどが含まれています。干した草を煎じて飲むと、鎮静効果があり、また抗炎症や傷の治癒にも使われるそうです(出展:wikipedia)。


ボルシェビク(Борщевик)
ハナウド属の繁殖力の強い草です。茎から分泌される汁には光毒性があるため、付着したらやや遅れて強い皮膚炎を引き起こします。すぐに石鹸で洗い落とし、2日間は日光に患部をさらさないように。また遺伝子毒性もあるので、服用厳禁。


ななかまど(Рябина)
ロシアではリビナといわれる、高木です。夏先に白くて香りがちょっとファンキーな花房が現れます。秋になるとそれが赤い実になり、葉も赤く染まります。「ロシアの紅葉」といってもいいですね。


シロツメグサ(Клевер)
日本にもあるクローバーの草花です。


白樺(Берёза)
北国ではお馴染みの、幹が白い高木。葉がまだ青い間に小枝を切り束ねて干したものは、ロシア式サウナに入浴中にこれで軽く叩いて香りを楽しむと共に血行促進をします。幹はカットして民芸品の材料に使われたりします。秋になると木の根元に稀に茶色い傘の大きなキノコが現れますが、これはポドベリョーザビクと呼ばれ食用されます。


オシナ(Осина)
ポプラ科の高木で秋には黄色い葉になります。葉肉はやや厚く、葉脈作りや漂白したりして加工もできます。秋になると木の根元に稀に茶色い傘の大きなキノコが現れますが、これはパダシーノビクと呼ばれ食用されます。