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エドウィン・スター「黒い戦争」(Edwin Starr, War)

2019-05-17 15:26:20 | 音楽批評
先日、戦争ファンタジーという記事を書きました。

そこで、リアリティを欠いた戦争観を批判しましたが……今回はその延長で、戦争の愚かさを歌った歌を紹介します。

エドウィン・スターの「黒い戦争」です。
原題は、War
一単語で、ずばり、「戦争」。
そのタイトルにも示されているとおり、これ以上ないぐらいストレートな反戦ソングとなっています。

以下、歌詞を抜粋して紹介しましょう。


戦争
そいつにいったいどんないいことがある?
まったく なにもありゃしない


戦争 俺は軽蔑するよ
だってそれは 罪のない命を奪うことだから
戦争 それは 
息子たちが戦場へ行って命を失ったときに
数えきれない母親たちの目に浮かぶ涙

戦争 そいつは心を引き裂くものでしかない
戦争 葬儀屋だけが友だちさ
戦争は すべての人類の敵なんだ
戦争は 若者たちに不安を与え
そして破滅を招く
いったい 誰が死にたいっていうんだ?

戦争は多くの若者の夢を鎖し
傷痕を残し 人生を台無しにしてきたんだ
人生は 戦争に費やすには あまりに短くて貴重だ
戦争は命を与えはしない ただ奪うだけさ

自由を守るために戦わなければならないと
やつらはいう
だが、神様はご存知だ
もっといい方法があるはずさ


こんな歌です。
付け足すことはなにもありません。
この歌はブルース・スプリングスティーンがカバーしていたりもしますが、さすが、“ボス”のお眼鏡にかなった名曲といえるでしょう。

喉元すぎれば……ということなのか、大戦から時間が経つにつれて、「戦争しても別にいいじゃん」みたいに考える人が増えているように思われます。
戦争になったら、何が起きるのか――そういう想像力を欠いた安易な戦争容認・期待論は、実際に戦争が起きたときになって「こんなことになるなんて」「こんなはずじゃなかったのに」という事態を生じさせる可能性が高いでしょう。
繰り返しになりますが、戦争なんていまの日本では絶対にできないし、選択肢としてまずありえないんです。