長くなった「ひとこと感想」その20。
メモには「淡彩のスケッチ風なのがリアルさを強調するようで、普段はこういうタッチが嫌いじゃないのに、この映画の場合は逆に作用して?後味が悪くて困った。」などと。
メモの内容をもう少し説明すると・・・私がこの映画を観ていて感じたのは、ある種冷え冷えとした違和感のようなものだった。新型ウィルスの「感染爆発」という現象は、要するにこういうものだ・・・というなら確かにそうで、この映画の特に前半は、それを感情的にならずに(大袈裟なジェスチャー抜きに)淡々と描写してみせようとしたのだろうと思う。
でも・・・(こんな風に思うのは私だけかもしれないけれど)「感染爆発」を「現実に即して」(その本質を多少強調して)描くだけなら、例えばSARSのドキュメンタリー映画を作った方が、もっとインパクトがあるんじゃないかと、ふと思ったりするのだ。新型感染症の怖さは既に現実のものになってしまっているので、リアルに描かれればそれだけ、嘘っぽさが目立つような気がするのかもしれない。(『28日後・・・』ほど突飛な症状(感染すると人が人を襲うようになる)ならまた話は別だけれど。)
もちろんこの映画が描いているのはそれだけじゃなくて、例えばネットを通じての「恐怖」の伝播の早さ、凄まじさは、きっとこうなるだろうな・・・というリアルさをヒシヒシと感じさせる(ジュード・ロウの確信犯ぶりも凄い!)。
でも、個人個人が置かれた状況の中で最善を尽くそうとする姿が感動的なのと、全体を通しての「冷静な筆致」ともいうべき雰囲気が、私の眼にはどこか噛み合ってないように見えて、むしろキャストが皆、名のある俳優さんじゃない方が良かったのかな・・・とか、そもそも感染地区にドクターを1人で送り込むようなこと、現実にはしないんじゃないかなあ・・・とか、余計なコトばかり考えてしまった。
(ケチばっかりつけているような感想になったけれど、 映画としては面白いのだろうとも思う。これは正に、「好み」の問題で、この監督さんと相性が悪いわけでもなく、私としては珍しい部類に入る経験だったと思う。)
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