今年はもうやめようかと思ったのですが、宿題が残ってるみたいで、なんとなく気が晴れなくて… なので、いつも以上に「かる~い気持ち」で書き始めました。(記憶違いも結構ありそうで、ひろ~い心で読んでやって下さるとありがたいです)
『君を想い、バスに乗る』(監督:ギリーズ・マッキノン 2021 イギリス)
主演の俳優さん(ティモシー・スポール)が役柄より20歳以上若い(そもそも自分より若かった(^^;)と知って驚いたとか、彼のアメイジング・グレイスのアカペラ~とか、イギリスは縦断すると3つの国を通る(ま、そうですが)ので、バスの料金体制も変わるとか、細かいことばかり妙に覚えています。でも、この人がこれほどジェントルマン!な役柄なのを初めて見て、なんだか嬉しかったことも。
『メアリーの総て』(監督・共同脚本:ハイファ・アル=マンスール 2017 イギリス=ルクセンブルク=アメリカ)
今思うと「創作」と「創作者」、あるいは「創造」「創造物」「造物主」といったことを、何重にも重ねた物語だったんだなあ…と。(個人的には、つき合う相手としてはチャランポラ~ンな男たちも、作家としては案外良心的だったのが良かったデス(^^))
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/57366087.html
『ボイリング・ポイント/ 沸騰』(監督・脚本・製作:フィリップ・バランティー二 2021 イギリス)
ロンドンの高級レストラン?のある一夜を「全編90分ワンショットで捉えた」というトンデモナイ作品。そうらしいと知った上で観たのだけれど、どうやってそれができたのか……とにかくスゴイ!と思った。(ただ、あの喧噪、あれほどの緊張感が裏側にあるのだとしたら、「高級レストラン」には近寄りたくないな~とも)
『ベルリン 天使の詩』(監督・共同脚本:ヴィム・ヴェンダース 1987 西ドイツ=フランス?)
最初にこの映画を観たのは「レンタル・ビデオ」で、だったかもしれない。それも結構早い時期だったのだと思う。時間が経ったとはいえ、そのときの記憶は本当にイ~加減だったのが、今回スクリーンで観てわかって、われながら驚いた(^^;
「こんなにムズカシイ映画だとは思ってなかった」「なんだか硬い台詞劇観てるみたい」「もしかしたら、当時はピーター・フォーク(の魅力)にだまくらかされたのかも…」などなど、(自分に)呆れ気味に観ながら、それでも、あの天使たちが吹き抜けに腰かけてしゃべってる風景は、まさに「記憶のまま」で、自分がどういうものに惹かれる人間なのかを教えてくれてた?気もする。
『ファミリア』(監督:成島出 脚本:いながききよたか 2022)
この映画での役所広司は、わたしにはとても自然に見えて、これまでで一番好きな役柄…と思った(オーラの強い俳優さんで、過去それがジャマになる?気がするときもあったので)
陶器職人としての力仕事・手作業というのは、演じる人から余計なモノを削ぎ落す方向に働くのかなあ…なんて(「嘘八百」シリーズの佐々木蔵之介さんでも思ったので)
『小さき麦の花』(監督:リー・ルイジュン 2022 中国)
本国では思いがけないヒットになったと、後から聞いた。現代の、希薄なくせにせわしい、ときに世知辛い、人間関係や暮らしの中では失われてしまった、とても貴重なものを観ていると感じさせる映画。
ただわたしなどは、これが「まさにファンタジー」と感じるのも本当。だからこそ、ラストの悲惨さは辛かった。(ああいう終わり方しかないんだろうか…と)
『アンネ・フランクと旅する日記』(監督・脚本:アリ・フォルマン 2021 ベルギー=フランス=ルクセンブルク=オランダ=イスラエル)
ファンタジーの形を借りて、「アンネの日記」の本意とするところを、鮮やかに描いてみせたアニメーションだと思った(アンネが最も強く望んでいたのは、こういうことだったはず…と)
『とうもろこしの島』(監督・共同脚本:ギオルギ・オバシュビリ 2014 ジョージア=チェコ=フランス=ドイツ=カザフスタン=ハンガリー)
自然の力だけで十分恐ろしいのに、なんで人間は戦争なんてモノまでするんだろ…
https://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/f5c5db989631ba4d6cddd0b7745b0173
☆『みかんの丘』(監督・脚本:ザザ・ウルシャゼ 2013 エストニア=ジョージア)
エストニア語、ジョージア語、アブハジア語?が飛び交っても、いちばん相手問わずに通じるのはロシア語なのかなあ。でも、最初からロシア語使うと、「アブハジア側」(違うかも)と決めつけられちゃうんだし… などなど、どの言語も使えないわたしが考えても仕方ないけれど、観ている間、結構気になった(^^;
https://blog.goo.ne.jp/muma_may/e/14b7c9959170972b2fc47526f978b6b0
『丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部』(監督・撮影:河邑厚徳 製作:佐喜眞道夫 2023)
「沖縄戦の図」を佐喜眞美術館で直に見ることは、わたしには無理と思っていた。でもこのドキュメンタリー映画のお蔭で、「直に見た」ような気持にならせてもらった。
ご夫妻(二人の描き手)がどうやって一枚の作品を作り上げるのかも、いつか教えてもらえたら…と思っていた。この映画で、全く違う描き方をする画家二人の共同作業(というかなんというか)が垣間見られて、あの数々の絵の迫力の源泉が、戦争を体験された方たちのお話からだけではなく、それを「絵」として目に見える形にするまでの苦闘(としか言いようがない)にもあったことを、教えられたと思う。
『クローゼットに閉じこめられた僕の奇想天外な旅』(監督:ケン・スコット 2018 フランス=アメリカ=ベルギー=シンガポール=インド)
要するに「旅」の楽しさを描こうとした映画だったのかなあ。確かに、移動手段がクローゼット(別方向に出荷されちゃう)でも、気球や飛行機や船でも、「旅」のわくわくドキドキ感、何か新しいモノ、心躍るコトに出合えるかも…という気持ちには変わりがないのかも(^^;
『スープとイデオロギー』(監督・脚本・ナレーション:ヤン・ヨンヒ 2021 韓国=日本)
わたしはこれまで、この作り手の映画を観るたび、ご両親がなぜあれほどにまで「北」を信じ続けられるのか、自分には理解できない気がしていた。今回この映画で、お母様の「済州(チェジュ)4・3事件」の体験を知って、自分の知識のなさ、感覚の浅薄さをつくづく感じた。
チラシにあった監督の言葉「タイトルには、思想や価値観が違っても、一緒にご飯を食べよう、殺し合わずに共に生きようという思いを込めた」を見て、『みかんの丘』の焚火シーンが浮かんだ。人はそうやってなんとか生きる道を探してきたはず…と。
(よき伴侶に巡り合われた様子が、幸せそうで嬉しかった(^^))
『テス(4Kリマスター版)』(監督:ロマン・ポランスキー 原作:トマス・ハーディ「ダーバヴィル家のテス」 1979 フランス=イギリス)
昔、上映時に初めて観たときには、テスという女性の気持ちが、わたしはよくわからなかった。でも、それ以上に相手の男性たちの気持ちも理解し辛かった?ので、『テス』はただ「痛ましい」という記憶だけが残った映画になった。
今回は、テスの人物像がくっきりと頭の中で像を結び、自分との近さ?も感じて、昔のわたしは何を見ていたのだろうと思った。
貧富の差があまりに大きく、貧農は泥まみれでこき使われるしかないような時代。そこを(家族ぐるみで)抜け出すには限られた道しかなかった。
それでも、自分の中にある純粋な「何か」を求め続けた女性の姿として、テスは美しいと思った。ラストに流れるナレーションの「彼女は吊るされた(絞首刑)」という言葉は、昔以上に残酷に響いたけれど。(ナスターシャ・キンスキーの初々しさ、とまどったような表情も、一瞬の決断を下す思いつめた瞳も、今こうしていて浮かんでくるのが不思議)
『天国と地獄』(監督・共同脚本:黒澤明 原作:エド・マクベイン「キングの身代金」 1963)
わたしは黒澤作品の中で、昔この映画を一番面白いと思った記憶があって、4作品同時上映という機会に喜んで観にいった。マクベイン原作と知って、なんだか理由がわかった気がして(外国ミステリー大好き!)ちょっと可笑しかった。
『潜水艦クルスクの生存者たち』(監督:トマス・ヴィンターベア 脚本:ロバート・ロダット 2018 ルクセンブルク)
2000年にロシアで「実際に起きた」原子力潜水艦事故の映画化というのが凄い。「海の男たちの強いきづな」も描かれるけれど、それよりロシア政府の「国民より国の威信の方が大事」という姿勢に、本気で腹が立った。(ウクライナ侵攻時にも、ロシアは自国兵士の犠牲に頓着していないように見えて、こういう体質は変わらないんだろうか…と。英国艦隊側が人命救助に奔走する姿があまりに対照的で、なんだか信じられない?くらいだった)
映画はある種「予想通り」のラストを迎える。(なんだか日本も明日はわが身のような気がする) それでも、儀礼上の握手は拒み、父親の時計が取り戻せた少年の姿は、つらい映画の後味を少し良くしてくれたし、正に悪役のはずのロシア側を演じたマックス・フォン・シドーの「自然さ」にも感心した(^^;
『ウーマン・トーキング 私たちの選択』(監督:サラ・ポーリー 原作:ミリアム・トウズ 2022 アメリカ)
世界は広い。自分には想像もつかないほどの慣習・差別もあるんだと。
http://blog.livedoor.jp/hayasinonene/archives/58001359.html
『ウィ、シェフ!』(監督・共同脚本:ルイ・ジュリアン=プティ 2022 フランス)
移民大国で料理大国というフランスにはこういうシェフもいるという、「実話」の力を強く感じた。これまでに観たさまざまな「一流シェフ」映画の中で、わたしにとってはこれが最高!「天涯孤独で人づきあいが苦手」という主役の女性シェフが、どんどん魅力的になっていくのを見てるのも楽しかった(^^)
『ガザ 素顔の日常』(監督:ガリー・キーン アンドリュー・マコーネル 2019 アイルランド=カナダ=ドイツ 原題:Gaza)
『ガザ」という場所を一度見てみたいと思い、前売り券を買ったのに… その後、「ガザの素顔の日常」は、とんでもないモノになってしまった。「今頃そんなの見ても…」と言われたりしたけれど、それでも行って「かつてのガザ」を垣間見ただけでも、自分にとっては意味があった(と思いたい)。
人がとても多い。そのせいか、どこを見ても狭苦しく感じてしまう。でも、将来に希望が見いだせなくて、悩んでいる若い人たちは、日本にもたくさんいる…… そんな風に感じながら観るはずだった映像が、今ニュースを見ながらふと浮かぶとき、アタマの中がグチャグチャになる。ガザの人たちは、ほんとうにどうなってしまうんだろう。
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