なぜか硬い書き方になっちゃった「ひとこと感想」その2。
この映画で、「アブハジア紛争」という言葉を初めて知った。
ソ連崩壊後、ジョージアは西部のアブハジア自治共和国と戦闘になり、「同時に起こった内戦と共に、社会は壊滅的な被害を被った」とチラシにある。言葉で説明されても、わたしなどには何が何やら、ヨクワカラナイ。
まして映画で見る「現実」は、「現れた人間が敵側かどうか」、それもジョージア兵、アブハジア兵、ロシア兵にチェチェン兵(アブハジア側)などなど、さまざまな立場・利害が入り乱れて、さまざまな言語が飛び交い、それがそのまま「銃を向ける(即撃つ!)」に直結する。
そんな中、アブハジアにあるエストニア移民の集落(オレンジ栽培)の、帰国せず残っていたエストニア人の家で、負傷したジョージア兵とアブハジア側のチェチェン兵が顔を合わせ、しかもそこで傷の療養をせざるを得ない事態になる。
一触即発の二人に、なんとか一時休戦させ「家の中では殺し合いをしない」約束をさせる、みかんの木箱づくりの男性の、人間としての厚み・深み・その迫力に、役柄とか演技力だけでない、俳優さん自身の人生経験・人間性を感じて、正直驚いた。そういうモノがあって初めて、役にタマシイがこもるのか…と言った意味で。
そういうあぶなっかしい状況でも、一緒に食事をし、多少の話もするうちに、最初の憎悪の念はやや薄らいでくる。相手を理解する部分も出来てくる…
しかし、それはほんのつかの間の幕間だとでもいうように、さっきまで生きていた人が、次の瞬間、目の前で死ぬ。生き残れるかどうかは才覚その他、運の良し悪しもあるけれど、「人間らしい気持ち」ゆえに命を落とすこともあるのだ。
たまたま(としか言いようがない)生き残った男たちの交わす言葉、別れの場面が心に残る。誰しもそれまでの人生があり、行動の裏側には「事情」を抱えている。
悲しみ、虚しさ、たくましさ、温かさ…… 人間にあるさまざまなモノが押し寄せてくるような、すごい映画を観たと思った。
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