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福祉について考えるUMEMOTOのブログ

シリーズ 医療制度改革④ 「手探りの在宅療養支援」

2006-08-19 11:00:51 | シリーズ 医療制度改革
『病院ではなく、住み慣れた自宅などへ』

介護保険制度ではすでに馴染みの言葉になっているが、医療においても自宅療養を支援するための制度改正がされている。
しかし、その裏にあるのは「膨張する医療費の抑制」だ。理念と本心が噛み合わない制度改正はうまく行くのか?これから現場の手探りが始まる。

新しい診療所の枠組みとして登場したのが『在宅療養支援診療所』だ。その要件を簡単に示すと、
*患者や家族が24時間連絡が取れる
*患者の求めに応じて24時間往診や訪問看護ができる体制がある
*他の病院と連携するなどして、患者の緊急入院の受け入れ体制がある
その他、医療機関同士の連携のため、本人の同意のうえ、患者の治療計画を随時情報提供することなどが求められる。

夜間や緊急時の往診には診療報酬に加算がつき、自宅で看取った場合にもターミナルケア加算がつくことになる。これらの手厚い診療報酬の影にちらつくのが、2012年度までに15万床まで縮小する療養病床だ。
23万床減る分の受け皿の一つに自宅が加わる格好になる。しかし、自宅療養には同居の家族の支援が欠かせず、誰もが選択できるものではない。現状では、あまり浸透しないのではないだろうか。

2007年4月から認められる薬剤師の「薬宅配」も追い風になるかどうか。
薬剤師法の改正により、往診した医師が書いた処方箋を薬局にファックスで送ると、薬剤師が薬を調合して患者を訪問し薬を渡す仕組みができる。通院が困難な患者にとっては朗報だが、自宅療養の推進の手助けになるかは疑問だ。

平成18年5月1日時点では、全国で8,595ヶ所の診療所が『在宅療養支援診療所』の届出をしている。これは、全国の診療所数の約1割に及ぶ。
在宅療養支援診療所の医師は、特養や老健、ケアハウスなど自宅に限らず往診をし、看取り支援を行うことになる。医療費抑制という本心とは別にして、最期の場を自分で選ぶことができる環境が少しでも整ったことは評価したい。

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