What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

老人クラブとシニアSOHO

2005-12-18 17:07:46 | まちづくり
SOHOという言葉がある。SOHOとは、『Small Office Home Office』の略で「小さいオフィス、家庭事務所」といった意味がある。
シニアSOHOというのは、退職した高齢者になろうかという人たちが、自分の得意分野で仕事をするというもの。
東京都の三鷹市では、元気な高齢者(高齢者というには失礼なくらい)がシニアSOHO・三鷹という枠のなかで第二の職場として働いている。

以前から、地域の活動として高齢者が加入するものに“老人クラブ”がある。各地域に会長さんがいて、地域の活動を積極的にしており、時にはゲートボールなどもしている姿をよく見かけるかもしれない。市町村から活動費をもらっていはいるものの、その活動のほとんどはボランティアである。
しかし、現状は加入者が少なく老人クラブの数も減ってきている。他人との関わりが希薄になってきたことや、“老人”という言葉が与える印象など理由はさまざまであろうが、一言で言ってしまえば魅力がなくなってきているのかもしれない。
仕事を退職し、ようやく地域のために何かやろうとしたときに、60歳の人が老人クラブに入ろうとするだろうか。これから団塊の世代の人たちが一斉に退職する時代がすぐに来るが、老人クラブに加入するとは思えない。しかし、ボランティアをしたいという気持ちを持っている人は少なくないはずである。そのときに、どんな受け皿を用意できるのか、地域に大きく問われてくるのである。

先に述べた、シニアSOHOは行政や一般市民より仕事を請け負い、有料で活動をしている。ボランティアで行うことは無い、という。それは、実際に代価に見合うものを提供する責任にもなるからだという。とはいっても、行政などから請け負う仕事は制度の隙間を埋めるようなものが多く、多くの収入は望めない。それでも退職後、自由にやりがいを持って働くことができるとあって、会員は700人を超えるという。
連絡の手段はIT。メーリングリストを使い、瞬時に多くの人が情報を共有していく。活動の幅は広く、毎日7~8のミーティングがどこかで開催されている状況だという。
こうして、三鷹市では多くのシニアが地域の中で活躍しているのである。

三鷹市では、シニアSOHOを地域づくりの一環として応援している。都心のベッドタウンである三鷹は面積の9割が住宅で、今後急速に高齢化が進むことが予測される。そのときに、ただ自宅で過ごす高齢者が増えると税金収入が減り、老人医療費が急速に伸び、市の財政を圧迫してしまう。
シニアSOHOとして、元気な高齢者が地域で活発に活動し収入も得ることで、上記の不安も解消できるというわけだ。

すべてが有償でできるわけではなく、ボランティアの持つ意味はとても大きい。だからこそ、ボランティアをしたいと思ったときにすぐに出来る環境や、さまざまなメニューを用意することが大切である。そこにもう少し力を入れていく必要があるだろう。
しかし、継続性や専門性を求めるとき、ボランティアで対応していけるのか懸念は残ってしまう。そんなとき、退職男性の知的能力をくすぐるシニアSOHOという考え方は、これからの地域づくりに一役も二役も買う存在になるのではないだろうか。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
有償ボランティア (うま&しか)
2005-12-18 18:31:13
私は今、ボランティアでパソコンの指導を行っています。これからは必要不可欠なシニアのテーマだと思います。しかし、ボランティアでの限界も感じています。一部有料化有料、謝礼の支払い!

今後のテーマです。

ブログをはじめ1ヶ月、

今回が始めてのコメントです。

今後ともよろしくお願いします。
返信する
Unknown (UMEMOTO)
2005-12-20 21:06:13
“うま&しか”さん、はじめまして。

こちらこそ、よろしくお願いします。

最近は忙しくて、なかなか更新できないでいますが、たまには覗きにきてください。

返信する