What’s ノーマリゼーション?

福祉について考えるUMEMOTOのブログ

グループホームの危機

2005-04-16 13:28:33 | 認知症
認知症ケアの切り札と注目されてきたグループホームが、そのお粗末なケアとずさんな運営体制を指摘され始めている。

今や全国に6,000ヶ所以上もあるグループホームだが、その実情は一握りの素晴らしいグループホームとその対極にある粗悪なグループホーム、そして残り大半の本来あるべき姿には程遠いグループホームとに分けられる。
グループホームは、特別養護老人ホームや老人保健施設等よりは比較的規制も少ないため、利用料などの差が表れやすい。1ヶ月10万円前後~20万円後半までとさまざまである。居室の広さや立地条件、スタッフの人数などの影響があるので一概には言えないが、これだけの差ほど現状のケアは差があるわけではないだろう。むしろ、利用料が安いほうが良いケアを提供していることもある。では、その違いはどこから出てくるのだろうか。

「理念」である。「理念」があるかないか。また、その「理念」が運営理念だけではなく、入居者の権利、地域との関係、その他十分な内容であるかどうか。「理念」がしっかりしていなければ、内部のケアも同様にしっかりしていないだろう。その逆は難しく、「理念」がしっかりしているからといって、ケアがしっかりしているとは言い切れない。しかし、目指すべきもあるとないとは大きな違いで、良いケアを目指す姿勢となって表れてくるはずである。

こんなグループホームもある。
○ 入居者を選別し、軽度の認知症の高齢者しか入居させないところ。
○ そもそも認知症をもつ高齢者を受け入れず、認知症になった時点で退居させてしまうところ。
○ グループホームの理事長が、入居者に猥褻行為をはたらいたところ。
○ 入居者全員に、自分の支持する議員に投票させるところ。              
・・・etc 
冗談のようで、どれも実在するグループホームでの話である。
グループホームは規模が小さいため、その中で何が行われているか周囲からは見えにくくなってしまう。そのため、情報を開示したり、地域に出て交流を持つことが求められているのだが、実践しているグループホームはまだ少ないのが現状だ。
小規模で家庭的というメリットの裏には、閉塞感があり馴れ合いになってしまう危険性があるというデメリットもあることを忘れてはいけない。

もし、グループホームに家族の入居を検討している時は、見学に行った際に理念を確認することや、なぜその値段に利用料を設定したのかを聞いてみると良いだろう。説明の姿勢から、そのグループホーム全体の姿勢が分かるに違いない。
また、厚労省がおこなっているグループホーム外部評価の情報がインターネットで見ることができるため、参考にしてみるのもよいかもしれない。