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往生際が悪い日本の右派勢力 米下院外交委「慰安婦決議」を直視すべきだ

2007-06-28 00:14:41 | 世界の政治・社会情勢
米連邦下院外交委員会が26日、「慰安婦」問題で日本政府に公式な謝罪を求める決議案を圧倒的多数で採択した。
決議案は民主党のマイク・ホンダ議員が2月に提案、140人以上の議員が共同提案者となった。来月に下院全体会議で採択され、正式な決議となる模様。
この決議に対して、自民党右派系議員が米紙に反対の意見広告を出すなど批判活動を行った。
また、産経新聞が3月に「ホンダ議員は中国人団体のロビー活動を受けて慰安婦決議を推進している」などと大々的に伝えたり、「【湯浅博の世界読解】対中非難決議の方こそ注目を」というコラムでも「厳しい対中非難をそらすため、中国系団体が下院議員らを慰安婦問題に誘導しているのではないかとのうがった見方もしたくなる」などと主張、慰安婦決議案が米国の自生的なものではなくて、反日中国勢力によって唆されたものだという印象操作を行おうと躍起になっている。
しかし、自民党右派議員や産経新聞の主張はナンセンスだ。
慰安婦決議と同時に、ウイグルの人権支援決議や米国と台湾の高官接触を促す決議なども採択されている。つまり、これは人権問題という点で共通しているものであって、決して「反日」という次元の問題ではないことがわかる。
慰安婦問題は、日本だけではない。戦後台湾でも国民党軍が行っていたし、韓国でも存在した。だからこれは女性の人権問題なのである。その中で日本ははるか昔の戦時中の行為について現在の為政者がいまだに潔く明確に謝罪していないところが問題なのである。

そもそも、「中国の工作」という産経の主張は出鱈目もいいところである。

1.慰安婦決議に積極的な議員は反中・親台の人権派が多い
慰安婦決議が中国系の世論工作によるものだというのは実は根拠が薄いというか、ほとんどデマである。下院議長のナンシー・ペロシ氏は民主党左派の代表的人物だが、彼女は慰安婦問題で日本を批判する以上に、現在の中国の人権・軍拡問題にも強い批判を持っており、チベットおよび台湾を強力に支援する立場を堅持しているい。
また、下院外交委員会のラントス委員長は「戦後ドイツは正しい選択をしたが、日本は歴史の忘却に熱を入れている。日本が戦争中に中韓の女性を性奴隷として強制徴用したことは明白で、間違いがなく、否定することのできない歴史的事実だ。日本の一部の政治屋が、一貫して歴史の歪曲を続け、被害者を責めるトリックを弄し、あろうことか広告で慰安婦の生存者と議会での証言者を中傷したことは、人々に極めて強い困惑と不安を抱かせるものだ。したがって、下院が立ち上がり、こうした女性のために正義を主張し、かつ歴史に真実を取り戻したことは、極めて適切なことだ」と指摘している(朝日新聞報道)が、ラントス氏はまた台湾との友好を目指す台湾コーカスの主力メンバーでもあり、チベット問題にも関心が深い。

2.同時にウイグル、台湾に関連した決議も採択されている
今回の慰安婦決議と同時に、ウイグルの人権活動家ラビヤ・カーディル氏の子供が中国で投獄されている問題でその釈放を要求する決議、さらに台湾との高官の交流を全面的に容認することを米政府に要求する決議も採択されている。また、中国の人権、軍拡、ダルフール問題などに関する非難決議も最近、毎週のように採択されている。
もし、産経のコラムや報道どおりに、中国がそれらの決議を矮小化するために慰安婦決議一本だけで対抗しようとロビー活動を行ったというのは説得的ではない。同じロビー活動の効果があるのであれば、中国はどうしてウイグルや台湾に関して中国に不利な決議案の採択を阻止しようとせずに、逆にそれを放置しておいて、たった一本の「反日」?決議案に力を尽くすのだろうか?どうみても骨折り損ではないか?そもそもそれはロビー活動というものを理解していない主張だろう。

3.台湾ファクターの存在を無視している
それから、本当に中国のロビー団体が米国の議員を動かして、決議案を採択させることができるほど強力だというなら、台湾に有利な決議など採択されようもなく、台湾はとっくに終わっているかも知れない。要するに、産経や自民党右派議員は、「日米中」関係しか見えていないから、こんなトンチンカンな主張をするのである。日本ではよく「親台湾派」と言われることが多い自民党右派や産経新聞が、実際には台湾など一顧だにしていないことがこの件でよくわかる。ペロシ、ラントスら親台湾派議員がどうして慰安婦決議にも熱心なのか。それは、要するにリベラル派で人権を重視するペロシやラントスが、台湾におけるリベラルな民進党の成立を人権という観点から感銘を受けているからなのである。それに対して、日本の産経や自民党右派の「親台湾」はいかに台湾の現実を踏まえない、単なる独りよがりの「反共主義」からするまやかしであるかが示されている。

4.慰安婦など日本軍国主義批判は、中国ではなく米国から起こった見方
産経や自民党右派などの国粋主義者はどうも勘違いしているようだ。日本右派的にいう「自虐史観」=「反日」史観なるものが、中国や朝鮮が発明したものだなどと本気で考えている節があるからである。ところが、そんな気の利いた思想を中国人や朝鮮人が考え出したものだと考えるのは、それこそ中国人や朝鮮人を買いかぶりすぎている。いわゆる「自虐史観」の起源は、中国やソ連などの「アカ」ではなくて、日本を戦争で破った米国が作り出した戦勝者史観なのである。この点では、一水会などの新右翼がいう「YP体制打破」というのは、本質を衝いている、といえるのである。
逆に、産経新聞などが米国の決議を「中国系団体が仕組んだ」といって、むしろ中国の工作で米国が動いたような説明をしていることは、それこそ中国の影響力を過大評価しすぎていることになる。そんなこと言われた中国はさぞ面映いであろう。
しかし「反日」史観が米国製のものであるとしたら、自民党、とくに安倍政権は矛盾した立場に追い込まれることになる。つまり、一方では「親米」というより米国従属を進めながら、史観としては米国の主流と敵対するものを抱いているからである。実際、安倍総理が慰安婦の「強制性」を愚かにも否定したとき、米国からこっぴどく批判され、最終的には米国に「屈服」する形で、慰安婦問題で抽象的な反省を述べることになったのである。
ところが、日本の右派は、この矛盾を直視できない。だから、それを「中国の工作」のせいにして、自己安撫を行おうとしているが、そうした核心から目をそむけた自己欺瞞はいつまで続くのだろうか?

以上のことを踏まえるならば、日本政府は一刻も早く従軍慰安婦問題を基本的人権と女性の尊厳の問題としてとらえなおし、歴史を直視して、歴史の過ちを謙虚に反省、謝罪すべきなのである。またそうすることによって、日本は大手をふって台湾との関係を強化し、人権と平和の立場から中国や北朝鮮に対して物言いをする正当性が生まれるのである。
実際、ラントスやペロシは、日本がそうすることによって、日本が歴史のしがらみから解放され、現在中国が進めている人権弾圧に明確な立場を示すことができるようになることを期待しているのである。
いつまでも過去のことを潔く謝罪できない日本の糞右派どもは、むしろ日本の外交的発展の足を引っ張る「国賊」というべきだろう。

最近の米国ついては、ブッシュ行政府に関しては、イラク戦争などはっきりいって反感や憎悪を感じるものが多いが、連邦議会は台湾の民主主義も支援するなど、肯定的な役割を果たしていることが多い。そういう意味では今回の決議も、日本にとっては渡りに船なのであって、日本政府はこれをきっかけにして、従軍慰安婦、植民地支配、靖国A級戦犯合祀、侵略先での虐殺について、衷心から、包括的に、反省し、謝罪するべきである。
そうしてこそ、日本はむしろアジアの他の民主主義平和愛好国家(韓国、台湾、モンゴル、フィリピン、タイなど)と手を携えて、現存するアジアの反民主的軍国主義国家の現在進行形の人権侵害を批判する先頭に立つことができる。

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