台湾にある中国出版専門書店をぶらついたところ、福建省で出された閩南語の辞書を見かけた。ぱらぱら見たところ、なかなかよさそうだったので購入。
小さいほうのポケット辞典は
書名:闽南方言常用小词典(閩南方言常用小詞典)
著者:周长楫(周長楫)
出版社:福建人民出版社
出版年:2007年10月
ページ数:616 pages
ISBN:978-7-211-054522-7
価格:38.00元
重慶南路の「天龍」で5掛けの190台湾ドルで2冊購入。
店頭には2冊しかなかったので、したがってそこの在庫はなくなったはず。しかも他の店には見かけなかったので、しばらく買えないはず。
(ちなみに天龍の主人は、中国書を販売しているが、ばりばりの台湾人で、普段は客に台湾語で話している。このギャップというか矛盾が台湾らしいところ。さらにこの辞典を購入したとき、王鐸の書を集めた本を購入していた別の人がいて、主人が「王鐸は日本人にも人気があるなあ」と唐突に言っていた。こういうところも台湾らしい。中国大陸文化について直接関心があるというより、日本経由で関心があるという点)
また、これの元になった
書名:闽南方言大词典(閩南方言大詞典)
主編者:周长楫(周長楫)
出版社:福建人民出版社
出版年:2006年12月
ISBN: 7-211-03896-9
価格:130.00元
は、問津堂で購入した。会員価格なので520台湾ドル。
前者は後者の簡約・縮約版ということだが、前者のほうが全体的にまとまりもよく、手軽なので、しかも語義説明も的確なので、お勧め。これは、現在書いている台湾語入門書の語義説明にも使えそう。
後者は台湾特有語彙などの解説が充実しているが、実は内容的には大きいだけでいまひとつ。
いずれも最初にビン南「方言」の概略と台湾「方言」の特徴などの説明があって、前半部が「閩南方言特有詞」とビン南語だけの特有語の説明、後半が「普通話閩南方言對照音詞」として北京語からビン南語音を引けるようになっている。後半の部分はかつて「普閩」の略称で呼ばれ、アモイ大学が1982年に出した《普通話閩南方言詞典》と似ていて、北京語と共通した語のビン南語音を調べるのが主な意図で、ビン南語特有語も明示されているが、あまり充実していない。こういう点では、中国の「シナ語方言」関連書はきわめて発想が保守的だ。普通話の文体については口語的で革新的なのに、「方言」となるととたんに保守的になるのは、シナ人の性か?
ともあれ、発音表記はいずれも簡略IPAを使っているので、わかりやすく、これは好感が持てた。これだと声母の子音が教会ローマ字と近いからだ。アモイ大の字書が使っていた漢語ピンインははっきりいってわかりにくくて嫌いだ。やっぱりビン南語の表記は教会ローマ字が優れている。
小辞典のほうは泉州、アモイ、漳州の音が、大辞典はそれに台北の音が併記されている。アモイ音が主体だが、それぞれの音を見出しにして引けるようになっている。
ただし声調の並びは、台湾で普通の、まず陰、それから陽という順序でなく、平上去入の順序なので、声調記号の数字が1声と8声以外は教会ローマ字と一致しなくて、ちょっと混乱する。また、形態素の並びも、伝統的な韻書と同じ韻母にしたがって並べる方式で、これもけっこう面倒----だと思ったら、このほうが韻母だけが違うことが多い、泉州訛と漳州訛の区別が明確になって意外に便利だった!これは新たな発見。
ちなみに、大辞典の台湾特有語彙の説明で間違いを見つけた。オートバイについてou-thok-baiと書かれているが、台湾語ではou-tou-baiという。
おそらく漢字の当て字に引きずられた頭でっかちの間違い。シナ人にありがちw。
この辞書、台湾語を調べるにも使えるのだが、次の報道を見ると、国家重点プロジェクトとなっていて、中国の統一戦線工作の一環。出版記念会には、台湾人としては北京政府で最高位にある彰化出身の張克輝や国台弁関係者らも出席したらしい↓。
http://news.163.com/07/0211/04/37193QDF0001124J.html
《闽南方言大词典》出版
2007-02-11 04:16:00 来源: 泉州晚报
“十一•五”国家重点图书出版规划项目
座谈会在京召开全国政协副主席罗豪才张克辉出席
本报北京讯2007年2月8日,福建人民出版社在北京隆重召开了《闽南方言大词典》出版座谈会。全国政协副主席罗豪才、张克辉出席座谈会,新闻出版总署副署长邬书林、中宣部出版局领导、国台办新闻局领导、福建省新闻出版局领导发表讲话,中国社会科学院原副院长、院士江蓝生书面发言。参加座谈会的还有语言学界、辞书学界的著名专家学者等。新华社、中新社、中央电视台、中央人民广播电台等大陆主要媒体,以及台湾“中央通讯社”、联合报、TVBS、年代新闻台、中天电视到会采访。
http://kaoshi.gmw.cn/01ds/2007-02/14/content_553408.htm
《闽南方言大词典》的五个特点
小さいほうのポケット辞典は
書名:闽南方言常用小词典(閩南方言常用小詞典)
著者:周长楫(周長楫)
出版社:福建人民出版社
出版年:2007年10月
ページ数:616 pages
ISBN:978-7-211-054522-7
価格:38.00元
重慶南路の「天龍」で5掛けの190台湾ドルで2冊購入。
店頭には2冊しかなかったので、したがってそこの在庫はなくなったはず。しかも他の店には見かけなかったので、しばらく買えないはず。
(ちなみに天龍の主人は、中国書を販売しているが、ばりばりの台湾人で、普段は客に台湾語で話している。このギャップというか矛盾が台湾らしいところ。さらにこの辞典を購入したとき、王鐸の書を集めた本を購入していた別の人がいて、主人が「王鐸は日本人にも人気があるなあ」と唐突に言っていた。こういうところも台湾らしい。中国大陸文化について直接関心があるというより、日本経由で関心があるという点)
また、これの元になった
書名:闽南方言大词典(閩南方言大詞典)
主編者:周长楫(周長楫)
出版社:福建人民出版社
出版年:2006年12月
ISBN: 7-211-03896-9
価格:130.00元
は、問津堂で購入した。会員価格なので520台湾ドル。
前者は後者の簡約・縮約版ということだが、前者のほうが全体的にまとまりもよく、手軽なので、しかも語義説明も的確なので、お勧め。これは、現在書いている台湾語入門書の語義説明にも使えそう。
後者は台湾特有語彙などの解説が充実しているが、実は内容的には大きいだけでいまひとつ。
いずれも最初にビン南「方言」の概略と台湾「方言」の特徴などの説明があって、前半部が「閩南方言特有詞」とビン南語だけの特有語の説明、後半が「普通話閩南方言對照音詞」として北京語からビン南語音を引けるようになっている。後半の部分はかつて「普閩」の略称で呼ばれ、アモイ大学が1982年に出した《普通話閩南方言詞典》と似ていて、北京語と共通した語のビン南語音を調べるのが主な意図で、ビン南語特有語も明示されているが、あまり充実していない。こういう点では、中国の「シナ語方言」関連書はきわめて発想が保守的だ。普通話の文体については口語的で革新的なのに、「方言」となるととたんに保守的になるのは、シナ人の性か?
ともあれ、発音表記はいずれも簡略IPAを使っているので、わかりやすく、これは好感が持てた。これだと声母の子音が教会ローマ字と近いからだ。アモイ大の字書が使っていた漢語ピンインははっきりいってわかりにくくて嫌いだ。やっぱりビン南語の表記は教会ローマ字が優れている。
小辞典のほうは泉州、アモイ、漳州の音が、大辞典はそれに台北の音が併記されている。アモイ音が主体だが、それぞれの音を見出しにして引けるようになっている。
ただし声調の並びは、台湾で普通の、まず陰、それから陽という順序でなく、平上去入の順序なので、声調記号の数字が1声と8声以外は教会ローマ字と一致しなくて、ちょっと混乱する。また、形態素の並びも、伝統的な韻書と同じ韻母にしたがって並べる方式で、これもけっこう面倒----だと思ったら、このほうが韻母だけが違うことが多い、泉州訛と漳州訛の区別が明確になって意外に便利だった!これは新たな発見。
ちなみに、大辞典の台湾特有語彙の説明で間違いを見つけた。オートバイについてou-thok-baiと書かれているが、台湾語ではou-tou-baiという。
おそらく漢字の当て字に引きずられた頭でっかちの間違い。シナ人にありがちw。
この辞書、台湾語を調べるにも使えるのだが、次の報道を見ると、国家重点プロジェクトとなっていて、中国の統一戦線工作の一環。出版記念会には、台湾人としては北京政府で最高位にある彰化出身の張克輝や国台弁関係者らも出席したらしい↓。
http://news.163.com/07/0211/04/37193QDF0001124J.html
《闽南方言大词典》出版
2007-02-11 04:16:00 来源: 泉州晚报
“十一•五”国家重点图书出版规划项目
座谈会在京召开全国政协副主席罗豪才张克辉出席
本报北京讯2007年2月8日,福建人民出版社在北京隆重召开了《闽南方言大词典》出版座谈会。全国政协副主席罗豪才、张克辉出席座谈会,新闻出版总署副署长邬书林、中宣部出版局领导、国台办新闻局领导、福建省新闻出版局领导发表讲话,中国社会科学院原副院长、院士江蓝生书面发言。参加座谈会的还有语言学界、辞书学界的著名专家学者等。新华社、中新社、中央电视台、中央人民广播电台等大陆主要媒体,以及台湾“中央通讯社”、联合报、TVBS、年代新闻台、中天电视到会采访。
http://kaoshi.gmw.cn/01ds/2007-02/14/content_553408.htm
《闽南方言大词典》的五个特点