むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

インリンのブログは台湾人らしさを出していておもろい!

2005-11-05 00:25:44 | 台湾その他の話題
 日本で活躍する台湾人セクシー系タレントにインリン・オブ・ジョイトイという人がいる。プロデューサーが古いタイプの左翼だということもあって、反戦平和左翼を自称している珍しいアイドルである。
 プロデューサーの影響なのか、台湾人と中国人を等号で結んでいるような記述も見られるが、ただ、台湾でこれまで報道されたことがあるインリンは、かなり台湾意識が強く、2004年選挙でも陳水扁支持を表明したこともある。
 8月からブログを開設したようだが、ブログの内容もむしろ、インリンは台湾人が中国人とは異なる人種であることを、その行動パターンによって示している。

 インリン・オブ・ジョイトイの日記 http://blog.livedoor.jp/yinlingofjoytoy/

 まず特徴としては、食べ物の話が多い。ことあるごとに食べ物に言及している点が台湾人らしい。ただ、これだと「中国人だってそうだ」と突っ込みが来るかもしれない。ところが、次。
 2005年09月07日毎日ドキドキ・・・・ では、JRのSuicaを買った話がすいカと顔写真とともに出てくる。これなんてのは、気取らない台湾人のおねえちゃんそのもの。韓国や日本や北方中国の芸能人だと「私は芸能人だから、運転手付きの車に乗るの」なんて偉そーにするところですが、すいカを買って電車通勤を暴露するあたり、平等指向の強い台湾人そのもの。
 2005年10月28日困るんですけど・・・ では、

> 「音楽はいつも何聞いてるの?」って最近よく聞かれる。私は無音が好きだから、普
>段はあまり音楽聞かない!

と「音楽聴かない話」を書いていたと思いきや、突然

>音楽を聞くとしたらKiroroが大好き!すごく癒されて、やさしい気持ちになれる曲ばか
>りなんですよね~!

と、Kiroroを聞いているという話になっている。
この論理展開の飛躍と前後関係しっちゃかめっちゃかなところが台湾人らしい。これは中国人と最も違う点(て、書くと、なんだか台湾人のほうをけなしているみたいに見えるが)。
 ところで本領発揮?の文章は、
2005年10月21日沖縄の海を守れ!  これだけ唯一政治色が強い記事。ところが、出だしはいきなり
>沖縄に来ると、シークァサージュース、アイスぜんざい、ミミガ、沖縄そばを毎日食べます。
>少し台湾料理に近いところがあるから、私は沖縄料理が結構好き!

で始まる。

>そして、小泉首相が靖国参拝をする度に、アジアの国との溝が永遠に消えないと思う。
>靖国神社は天皇を神だと言って日本の侵略戦争を美化したファシズム宗教の場所です。
>戦争で犠牲になった日本軍人や一般の日本国民の中にも仏教の人もキリスト教の人も反
>宗教の人もいます。
>国家の為に死んだのでも侵略の為に死んだのでもなく、英霊とか言われる為に死んだの
>でもなく、
>日本の権力者に騙され追いつめられて、それが家族を守る為だと思い込んで死んだんで
>す。
>英霊だなんていわれて祭られるのは迷惑でしょう。

 まあ、アジアといっても台湾人は気にしていないという突っ込みは別として、この理屈は間違ってはいない。私も靖国は反対だから(ただし中国が反対するのは内政干渉)。
 こういった左翼的言辞には日本の右翼が気に食わないらしく、台湾独立を支援している一部の右翼が、インリンについて「この馬鹿な反日分子をどうやってしばいたるか」などといっていたことがある。
 でも、そんなこといっている右翼のほうがアホだと思う。インリンの出発点は、台湾人も普通に素朴にもっている「大国どうしの戦争は迷惑」という心理にある。また、靖国参拝への批判的な見方も、台湾人で独立・本土派でも民進党左派など、独立左派のような人たちには存在しているのであって、とくに反日的だとはいえない。

 実際、インリン自身もこう書いている。

>先に言っておきますが、私は「反日」のつもりは全くないですからね!(笑)
>一人の常識ある人間として意見を言ってるだけ。
>平和で文化的な日本は大好きですから!!!!

 これも、実際、民進党左派や環境団体など本土・独立派の左派の中ではけっこう良くみられる日本観。つまり、彼らが「親日的」なのは、平和憲法をもって戦争をせずに繁栄しそこそこの福祉国家を築いた戦後の日本が好きなのであって、間違っても好戦的で帝国主義的な戦前の日本ではないことだ。
 現実に、本土左派の台湾環境保護聯盟や台湾非戦家園聯盟などは、台湾が新憲法を制定するときには、日本憲法の反戦条項のようなものを挿入することを主張している。
 そして、本来の意味での平和主義者だからこそ、戦後から現在までの日本よりも現実の中国のほうがもっと嫌いということにもなる。

 台湾独立派や本土派であれば、中国を嫌う分、日本に好意的なのは確かだ。だが、それでも台聯の一部右派のように靖国参拝を自分でするまでに戦前の日本も含めて盲目的に好きなのか、あるいは民進党より左側のように、戦後の平和で民主的な日本だから好きなのか、かなり見方が分かれる点に日本の右翼は気づいたほうがいいだろう。台湾人は乱暴な日本は嫌いなのだから。それは現実に乱暴な中国が嫌いなように。
 独立派右派の一部だけを見て、台湾人全体が日本のとめどない右傾化に寛容だとタカをくくったら間違いということだ。

 ところで、インリンについて、日本語wikipediaインリンの項目 では、本名を本名 顔 垠凌=イェン・インリンとしているが、これは間違い。たしかに最近の中国語の検索エンジンで検索するとそうなっている資料が多いが、顔姓はたしかだが、もっと台湾人らしい名前だったはず。思い出せないが。

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