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ある日カッパ姉ちゃんとカメラおじさんの家に一匹の子犬がやってきた。
日々のうつろいの発見と冒険を胸に生きていこう!

さすらいー幽霊屋敷21

2009年07月10日 | 投稿連載
幽霊屋敷 作者大隅 充
      21
 僕は、運転台から飛び降りて土埃りを立てて
そのダンボールへ走り寄った。
するとその中にあの、ラリーの子のチャータと
コロがいた。真ん丸い黒目で僕を見上げて尚い
っそう大きな声で鳴き出した。僕は、うれしく
てすぐにダンボールを倒して二匹のまるまると
した子犬を抱き上げた。ペロペロと交互に僕の
口をなめて気が狂ったように尻尾をニ翼で振っ
て息ができない。
どうしてたんだ。ラリーは死んだのにお前たち
は生きていたんだ。よかったな。こんなまるま
る太って元気だなんて。
 僕は、二匹をジャンバーのお腹に入れて急い
で清水沢まで山道を帰った。
測量の工事人や郵便局のおじさんに何か声かけ
られたがひたすら熊谷の兄ちゃんのいるガソリ
ンスタンドへ走った。

「どうやら解体工事の若い監督さんがチャータ
たちを見つけて飯場で飼っていたみたいだべさ。
ただもっぱらエサをやっていたのは、ガードマ
ンのじいさんだったって、さっきガソリン入れ
に来た測量の技師さんが父ちゃんと話している
のを聞いた。」
 スタンド裏の整備工場の皮張りの破れをガム
テープで繕った長椅子から身を起こしながらタ
ツヤ兄ちゃんは言った。
「だからこんなにまるまる太っていたんだ。で
もよかったね。こいつら、生きていて。」
 僕は、チャータとコロを即席の麻紐でつくっ
たリードで結んで油だらけのコンクリの床で遊
ばせていたがもう一ヶ月前とはまるっきり様子
が違って力強く、ガルガル僕の指を噛むし、首
輪をつけるときには散々両手の項を爪で傷だら
けにされてその何本かは、深く血が滲んだ。
「駿よ。コロは、前も言った通り貰い手がある
がチャータは、おまえが飼え。」
僕は一瞬面倒くさがりの母ちゃんの顔が浮かん
で不安になったが、きっぱりと決心した。もう
大人なんだから。
「うん。わかった。やってみる。死ぬ気で飼う
の説得するよ。」
「そうか。おまえはいいやつだな。もういつま
でも子供じゃねえべさ。自分の責任でチャータ
を育ててみろよ。」
「うん。」
そう大きな声で言うとわかったのかチャータが
僕を見てワンワンワンと吠えた。
案の定母さんは、絶対に嫌だといい、父ちゃ
んは、飽きっぽい駿が子犬の面倒なんか看れる
はずない。だいたい家族旅行に行くときはどう
するのか、ペットホテルに預けるお金なんかな
いんだぞ。とタクシーで人を乗せて日当稼ぐの
にどれだけ大変か、一日岩見沢までまわってス
カの日だってあるのにガソリン代だけは消えて
いくんだといういつもの愚痴とセットで聞かさ
れて結局無理だと一喝された。
しかし僕は、引き下がらなかった。
一人でも育てるとチャータと家出する覚悟で家
を飛び出そうとするとさすがに母さんが止めて、
一週間だけならいい。その間に父さんと母さん
で他に飼ってくれる人を探すという妥協案を出
してきた。僕は、チャータのためにしぶしぶ泣
きながらその案に承諾した。

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長崎銘菓・おたくさ~シーちゃんのおやつ手帖100

2009年07月10日 | 味わい探訪
長崎を代表する銘菓おたくさ。
アジサイの形は一つずつ職人さんの手捻りで作られています。
今の季節・梅雨にピッタリのお菓子かも…?
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