モーツァルト:交響曲第36番ハ長調「リンツ」
メンデルスゾーン:交響曲第3番イ短調「スコットランド」
指揮:ファビオ・ルイージ
NHK交響楽団
(12月9日 NHKホール)
オケ曲だけの、休憩なしの定期公演。イタリア生まれのルイージは、2022年9月からN響の首席指揮者。私は実演では初めてだが、映像、録音では何度か聴いている。イタリア物もドイツ物も水準以上の満足すべき出来であるが、魂を揺さぶられるほどのカリスマ的な演奏には出会ったことがない。
今回の演奏は、まずもって両曲ともテンポが速い。ルイージは「スコットランド」について、「メンデルゾーンの交響曲の中で最良の作品」と評しているようなので、もう少し詩情のある表現を期待したが、どうもそれは「オケが豊穣に鳴る」という意味のようだ。ただイタリア人らしく歌わせる所もあって、第3楽章は昔懐かしいメロディーにしばし感慨に耽った。