ほんとうのことばかりいうと
ここではすぐに孤独になる
ここではみな
うその方がいごこちがいいから
自分のついてきたうそが
どんなものなのか 見なくてすむから
だから うそをほんとだっていうことにして
ほんとのほんとには かわいそうなことをする
うその世界で ほんとをやるのは
馬鹿なんだよってことにする
ひりひりする孤独の油を注いで
馬鹿の聖別をする
ここちよい真実は すべてを支えている
やさしい浸透圧の音楽で ささやきながら
目を閉じている人の心臓の
苦しい記憶の痛みが 語りだすのに
いつも耳を澄ましている
涙で目を開けるとき
空があきれるほど澄んで青いのは
今の今まで
ほんとうの空を知らなかったからだ
美しすぎる世界を
虚無の塩でいためてきたうそを
真実が細やかな指でなおしていたことを
初めて知るからだ