世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

王子さまの花

2008-04-08 09:48:40 | 画集・ウェヌスたちよ

「星の王子さま」に出てくる「花」を、擬人化してみました。色を塗ろうと思っていたんですけど、体力的にちょっと無理だと感じて、今回はモノトーンです。

まだ幼いかわいい女の子が、初めて男の子を好きになって、どうしようと思っているところ、です。

最初に見たとき、王子さまがとてもかわいくて、花は一生懸命自分をかわいくして出てきた。でも、なんだかとっても怖くて、つい意地悪なことを言ってしまう。

王子さまは、小さな自分の星をもっていて、それをほんとにだいじにしている。火山の掃除をしたり、バオバブの芽を摘んだり、もちろん、花のこともちゃんと世話してくれる。時々、いすに座って、いつまでもずっと夕日を見ていたりする。そんな王子さまの横顔を見ていると、花は悲しくなる。何で苦しいのか、よくわからなくて、なきたくなる。そしてとても惨めな気持ちになる。

自分はとってもきれいなものだって思ってたけど、ほんとはぜんぜん違うんじゃないかって。

話をしたくて、いろんなことを言うのだけど、馬鹿なことばっかり言って、王子さまを困らせてしまう。悲しそうな顔を見て、苦しくて、ほんとは違うのって言いたいのに、また意地悪してしまう。どんどん自分が嫌いになっていく。

そしてとうとう、王子さまは、花を残して星を去っていく。花は、馬鹿だったけれど、すっかり馬鹿ではなかったので、最後にやっと、自分が馬鹿だったと、あやまった。そして、あなたが好きだったと、いえた。それが、花の、ほこりだったから。

人を好きになるのは、苦しい。それはみんなが、まだわかくて、上手に好きといえないから。

王子さまだって、馬鹿ではない。とんちんかんなことをいう花の顔が、とっても苦しそうだってことくらい、わかる。

遠く自分の星を離れて、いろいろなものをみて、考えて、世界を感じて、その世界が、すっかり美しいものだと感じるのは、自分が、世界でたったひとつの花を、深く愛しているからだと、王子さまは、気づく。

そしていつか、帰って来る。
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