永遠の透明な壁に囲まれた
小さな島にわたしはいます
混沌の海に小さく浮かぶ
虫のような島です
永遠は夜のような闇に
虹色につやめいて
尊い月の光を
わたしへの便りにして
ひそやかに
ことばを明かします
わたしは馬鹿なことをやりました
すばらしい命のすべてに
馬鹿のしるしをつけて
自分だけが尊い王になろうとしました
いえ 神になろうとしました
すべてが自分の思い通りになる
ただひとりの馬鹿になろうとしました
永遠の壁の向こうから
ひたひたという無音が響きます
聞こえるはずのない音です
それなのにひたひたと響くのです
あまりにも遠く離れてしまった
なつかしい愛の記憶から
遠くに見える月光を風にまぜて
今でも思うていると
だれかがわたしに伝えようと
していることを
わたしは感じます
心臓に塩を塗るように
わたしは今日もまた後悔の涙に濡れ
むせび泣くのです
すべては すべては
わたしが愚かでした
もはや
二度とは会えぬひとに
わたしも わたしも 伝えなければ
風向きの変わるのを待って
わたしの声は
あらん限りの力をこめ
瀕死の蝶の吐息のように
かろうじて ねじりだされ
月光に濡れた静寂の琴を
かすかに弾くのです
わたしも 愛していると
そのひとに 伝えたいのです