世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ポーラースター・システム・34

2017-05-28 04:13:01 | ポーラースター・システム


障害は私を屈せしめない。
あらゆる障害は奮闘努力によって打破される。


レオナルド・ダ・ヴィンチ


  ☆



これは実にレオナルドらしい言葉である。時代の制限により、彼の表現は実に痛い形になったが、この人は本当は実に高い学究の徒なのだ。

高いことを永遠に求めていくことに、白いほど清らかな炎を燃やす人なのである。

天才という二つ名を与えられたが、彼の理想は芸術も科学も触れられぬ高いところにあった。人間の苦しみを、どうすれば消せるかということだ。

生きていく人間の暗い迷い、苦しみ、あまりにもおどろおどろしい呪いから発生する、人生の破壊。清らかに生きようとすればするほど、人に憎まれる。だからと言って馬鹿のように自分をごまかすこともできない。

嘘をつこうとすれば、多大な精神力を費やす。それが学究の徒というものだ。

その厳粛ともいえる思考で人間世界を見抜き、描こうとしていた。暗中模索などというものではない世の闇の中に生き、必死に何かを探していた。神を歌う宗教の世界にも魔がはびこっている。国は堕落の中をたゆたっている。理想ということばはあるが、夢のような幻としか見えないような世界だ。誰もが動物的な嫉妬に動かされて生きている。

人よりも優れたものを持って生まれたがゆえに、彼は人間のあらゆる下級な劣情にさいなまれていたのである。馬鹿というものは、彼のような存在には、醜いなどというものではないことをするのだ。

しかし、人の世を真の意味で救うのは、彼のような優れて高い人格なのである。その彼のような存在に、一介の芸術家としての仕事しかさせることしかできなかったというのが、当時の人間社会の貧しさなのだ。

霊的に高い彼の人格を見抜き、政権の中に取り込むことができたら、イタリアはもっと違う道に進めていただろう。

馬鹿というのはどうしても、国を誤らせるものなのだ。







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