No,142
ポール・ドラローシュ、「フォンテーヌブローのナポレオン」、19世紀フランス、アカデミック。
今回もナポレオンである。これは百日天下を終わってワーテルローで大敗した時のナポレオンだ。一時期と比べると、何となく背丈が縮んで見えるだろう。
これは画家がデフォルメしたわけではない。実際、縮んでしまったんだよ。盗んでいた美が崩れて、中の本当の自分が出て来たのだ。
体が縮むのを、昔から老醜のせいだとしてきたがね、本当は、本物の自分を生きている人間は、目だってわかるほどには、縮まないんだよ。年を取って、きゅうに小さくなったと見える人間はみな、偽物なんだ。
着ていた他人の美がなくなって、本当の自分が出てくると、たいていの人間は小さくなってしまうんだよ。
要するにこれは、ナポレオンの正体がとうとう出て来たという絵だ。
実体験として、こういう例を見たことはないかね。顔は似ているんだが、何となく、小さくなった。嫌な感じがする。馬鹿が出て来た人間はみな、こうなるんだよ。わかるかな。
ごまかせないんだよ。どんなにがんばっても、いずれはこうなってしまうのが、偽物の、人生なのだ。
ポール・ドラローシュ、「フォンテーヌブローのナポレオン」、19世紀フランス、アカデミック。
今回もナポレオンである。これは百日天下を終わってワーテルローで大敗した時のナポレオンだ。一時期と比べると、何となく背丈が縮んで見えるだろう。
これは画家がデフォルメしたわけではない。実際、縮んでしまったんだよ。盗んでいた美が崩れて、中の本当の自分が出て来たのだ。
体が縮むのを、昔から老醜のせいだとしてきたがね、本当は、本物の自分を生きている人間は、目だってわかるほどには、縮まないんだよ。年を取って、きゅうに小さくなったと見える人間はみな、偽物なんだ。
着ていた他人の美がなくなって、本当の自分が出てくると、たいていの人間は小さくなってしまうんだよ。
要するにこれは、ナポレオンの正体がとうとう出て来たという絵だ。
実体験として、こういう例を見たことはないかね。顔は似ているんだが、何となく、小さくなった。嫌な感じがする。馬鹿が出て来た人間はみな、こうなるんだよ。わかるかな。
ごまかせないんだよ。どんなにがんばっても、いずれはこうなってしまうのが、偽物の、人生なのだ。