目に痛き

目に痛き　紅の散り敷く　さざんかの　冬の空には　君の星なく




天狼の　燃える夜空は　美しく　昼のとばりに　我はやすらふ




見えぬとも　なきにあらずと　いふ君よ　いづこにひそむ　わが胸の空




猫のごと　ちひさき君の　こころにて　われはみいだす　清き流れを

さらぬだに

さらぬだに　とりのゆくへは　たかくして　ふりあをぐ身に　降る音のあをさ





鳥の音に　玉を隠して　君が手の　かひよりいでて　大空を飛ぶ

月の戸に

月の戸に　魂をいこはせ　まどろみの　衣をかぶりて　今はやすらへ




氷結の　影の嵐を　くぐり来し　わが身とともに　君もありしと




しづかにも　うたふ御神の　声を聞き　むねにしたがひ　しづもりたまへ




あをきそら　ながるるくもの　目に沈む　涙をとはず　我は戸を閉づ

手綱

我にすら　我の手綱に　悩みする　我見る君の　苦はいかならむ




ますぐにも　かたくなゆえに　君を御す　綱を持つ手は　君のみならず




弧なりては　生きてはいけぬ　この我に　友とよりそふ　君なくしては




愚かにも　ますなおなるを　喜ぶと　ばかりおもふな　吐息をひとつ

たかてらす

たかてらす　日には隠せず　青き鞭　ふりて血を吐く　きみのしんざう




しれごとを　いふそのくちを　うつせみの　世に咲く花に　くはしてもみむ




たまゆらの　ゆふかげに咲く　しらうめの　香にもしたがふ　甘き罪かな




仮の世の　白き乙女の　かなしきに　こころ流れて　言絶ゆるかな

ましら

あさき穴と　おもひて落ちし　暗闇の　深きにまよふ　いつはりの金









なせしこと　なすべきことと　すべき身を　かろがろと逃ぐ　めしひのましら

ゆふづつ あかぼし

ゆふづつを　すくふごとくの　しろきつき　きみがてになる　やいばにも似る







あかぼしを　ひとみにやどし　ひたすらに　ゆくきみこそは　さいはての月

たまちはふ

たまちはふ　神の心の　深かりて　君のゆく道　追ふ余の心








信ずれば　ゆく道こそが　神なれと　言ふわれの目を　君は哀しむ