「サリク、おれ、子供ができたんだ!」
「ああ、生まれたのか」
サリクはいきなり飛び込んできたネオに、少し驚きながらも、快く迎えた。そして喜んでお祝いの言葉を言ってやった。自分に子供ができることは、男にとってもいいことなのだ。ちゃんとしたいい男であることの証明になる。
「男か、女か?」
「女! テコラっていうのさ、かわいいんだよ!」
「そりゃ、赤ん坊はかわいいさ。おれも妹ができたときは、よく抱いてあやしてたよ」
目を輝かせながらいうネオの顔を、笑って見返しながら、サリクは言った。よほど子供ができたことがうれしいらしい。
「ねえサリク、おれを狩人組に入れてよ」
「おいおい」
突然ネオが言うので、サリクは苦笑した。
「狩人やりたいんだ。おれ、いい仕事して、テコラにいいものやりたいんだ」
「まだ早いよ。十二になったばかりだろう。狩人組は十七くらいにならないと入れない。それも、体の大きなやつだけだ」
「おれ、でかくなる、必ず! だからシュコックになんとか言ってくれよ」
「わかった。なんとなく話しといてやるよ。でもすぐには無理だぞ。狩人組は厳しいんだ」
サリクは言ったが、ネオはまだ納得しかねるようだった。何かをしたくてうずうずしているらしい。子供が生まれて、親になったからには、もっとすごいことがしたい、なんてことを考えているのが、目を見たらわかる。男はこういう目をすることがある。サリクも男だからそれはわかる。でもネオはまだ十二だった。歌垣には出られるが、大人の男に入るにはまだ早い。
しかし悔しそうな顔をしているネオを、そのまま突き放すこともサリクにはできなかった。釣りだけでは満足できないのだろう。少し考えたあと、サリクは言った。