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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

あたし

2016-03-06 05:18:43 | 詩集・試練の天使

みんなが見てくれる
すごい美女になりたかったんです
美女になると
男がよってきて
なんでもしてくれるからです

ほんとのあたしは馬鹿なことをして
醜くなってしまったので
こんなあたしなんかいらないって
ポイして
自分以外の美女を盗んで着るの
それでなんとかして
男をひっかけるのよ

ぜんぶ男にまかせるの
あらゆることをやってもらうの
だってあたしは何もできないから
男にがっぽり稼いでもらって
なんでも人にやってもらえるような
いい暮らしをさせてもらって
きれいだってだけで
一生愛してもらうの

あたしはそのほうがいいの
自分で勉強して 
いいことしてきれいになるなんて
馬鹿なことにするの
ほかの美人から盗めば
簡単にきれいになれるんだもの

でももう それできなくなるの
ほんとの美人がいなくなるからなの
でっかい美人を殺したら
美人そのものいない世界になったの
それとんでもない馬鹿なのよ
あたしはほんとの自分に戻って
とんでもなくおかしな馬鹿になるの
やってきたことすべてが
顔を見るとわかるっていう顔になるのよ

こんなことは馬鹿なの
馬鹿なのよ






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人間はまだ

2016-03-02 05:29:00 | 詩集・試練の天使

誰の助けもいらない
自分たちだけでやっていくから
ほっといてくれと言えば
人類はもう
人間の世界を追い出されるのです

最後に残った天使を
みんなで盛り立てていけばよかったのです
なのに人間は
そんなものは馬鹿だと言って
みんなでつぶしてしまったのです

逆風の中をつっきって
救いの一手を打った月を
みんなで否定して
幻の向こうに追いやったのです

わたしたちは
人間存在
やってしまった罪を背負って
永遠に生きていくしかない
すべてをなんとかしていくために
すべてをやっていかねばならない

それから逃げてしまえば
もう滅亡が待っている
逃げることが許されない最終の門から
背を向ければもう終わりなのに
人間はまだ迷っている

人間はまだ迷っている




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美しくなるために

2016-03-01 05:24:10 | 詩集・試練の天使

真に美しくなるためには
高いことをせねばならない
伸びあがる魂のやわらかさ
半身を切り裂く痛みにも耐えられる強靭さ
ここというときに高く跳ね上がる魂のばね

永遠の衆愚に逃げて
甘い暗闇を吸っているばかりでは
人は美しくはなれない
孤独の雨に洗いだされ
ひりひりする自分の輪郭を感じながら
高みに向かってつっきていく
魂の強さが必要だ

何もしなくても
ありのままでいいのだという
愚かな甘えは捨てなさい
自己存在とは
宿命的に
自分を実行していくということを
背負っているものなのだ
それに背を向け
永遠に何もしなくていいという
安楽に逃げようとすれば
人は暗黒に染まり
どんどん醜くなっていく

美が欲しいのならば
それを他者から盗むなどという
愚かな真似をやめて
自己存在の真実に目覚め
永遠にやってゆくよりないその自分の
宿命を受け入れ
あらゆることに挑戦してゆくことだ




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自己存在

2016-02-29 05:27:28 | 詩集・試練の天使

すべては
馬鹿だと思っていたら
あらゆるものは
むなしく
虚無に染まっていると思っていたら
すごいものがいる

いる

それが
自己存在の
世界






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神の雨

2016-02-02 05:20:34 | 詩集・試練の天使

神が金の雨を降らせる
針のような雨に
心臓を刺されて
人間は影が痛くてたまらない

うすら寒い影の中を
歩いてきた人間は
神の雨から逃げるように
走ってゆく
だが雨はどこにでも降っている
家の中にさえ降っている

神が金の雨を降らせる
湯のような雨に
ごまかしの仮面を溶かされて
人間は恥ずかしくてたまらない

金色のかつらを
かぶってきた人間は
神の雨から逃げるように
走ってゆく
だが雨はどこまでも追いかける
水の中までも追いかける

勲章が痛い
金庫が重い
だめだこれは
どこにも逃げるところがない

神が金の雨を降らせる
真実の光を降らせる
人間ははらわたに隠した
癌のような嘘を突き刺されて
痛くてたまらない

馬鹿どもめ
少しはがまんせよ
神はおまえたちを
芯から清めようとなさっているのだ

あほうが




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なずななずなよ

2016-01-28 05:22:56 | 詩集・試練の天使

なずななずなよ なぜ群れ騒ぐ
たふときひとの こころをもとめ
時にまよひて さざ群れ騒ぐ
春にゃはやいと 風がいふ

冬のまなかの 春のひよりに
かへりさく花 多々それありて
あかやきいろの 色みせあひて
たふときひとを 想ひあふ

かすかにかげる 冬のひざしに
あたたかき春 地にまよひでて
陽だまりに咲く 色みつる花
愛するひとは 夢の中

なずななずなよ なぜ群れ騒ぐ
たふときひとの 夢を織らむと
ひとひの春の あまき光を
まぶたにぬりて ささやけるかな




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青ざめた薔薇

2016-01-16 05:13:02 | 詩集・試練の天使

青ざめた薔薇は
静かに魂の中に忍び込む

消えそうで消えはしない灯を
沈黙の中にかみしめて
静かに魂の中に忍び込む

雨に打たれる花弁の痛みを
そっと心に教え
やさしさの行方を
香りに託して魂を導こうとする

青ざめた薔薇は
誰の心にも忍び込む
青い悲しみをあたたかな涙に変え
心の中を明く照らそうとする

青ざめた薔薇はいつも
星のように静かに
あなたの心に忍び込む

身を焼くほどの情熱もなく
明日を追いかける執念も小さい
だけど星のような光を心に燃やし
消えそうな魂の火をかきたてようとする

青ざめた薔薇は
悲しみに濡れながら
小さな自分の灯を
いつも宝物のように磨いている

青ざめた薔薇よ




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2016-01-07 05:08:21 | 詩集・試練の天使

部屋の中に薔薇の木を植えて
その香りであなたを洗いながら
そっと耳に口づけしよう

苦しかったね 今も苦しいね
でもそれは
遠い昔に間違ったことをしたあなたの
心をきれいにするためにあることなのだよ

だいじょうぶ
あなたは強いから
必ず乗り越えられる
すべて わたしは知っているから
だれにも言わないで
ずっと守ってあげるから
安心おし
愛しているから

誰があなたを馬鹿にしても
わたしだけはあなたを愛しているから
ずっと待っているよ
あなたが心をきれいにして
本当の自分で歩き始める日が来る時を

いつかあなたの心は
身を半分に割るほどの苦しい時を
経験するだろう
どんなに痛くても 苦しくとも
我慢するんだよ
耐えぬいていくことができたら
あなたはもう新しい自分に生まれ変わっている

心配はない あなたは強い そして賢い
いつまでも意地をはるなんて馬鹿なことだと
もう自分でも知っているだろうから
心を柔らかに折って
いつか硬い卵の中から出てきなさい

待っているよ




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灯火

2015-12-20 03:26:35 | 詩集・試練の天使

あなたの記憶と
わたしの記憶が
砂のようにまじりあってくる

わたしたちは
まるで結合双生児のように
どこか深いところでつながっているようだ

あなたの見ている夢の中で
飛んでいる白い蝶々が
わたしのところにも
飛んで来る

あなたの見ている夢の中で
泳いでいる碧い魚が
わたしのところにも
泳いでくる

野原の花々は
咲くたびに微かな痛みを感じて
小さな声を上げる
それに耳を澄ましている
あなたの心が
わたしのところにも
流れて来る

痛かっただろう 本当は
もっと自分で生きていたかったろう
それを無理やりやめさせたのは
もうあなたが限界を超えすぎ
疲れ果てていたからだ

自分のやったことに言い訳はしない
後悔もしない
だがその結果起こったことは
あまりにも苦しかった

あなたの声が聞こえない世界は
太陽が半分になってしまったようだ
二度とは聞けないあなたの美しい言葉を
まるで母を恋う子供のように
心のどこかで恋うているわたしがいる

あの美しい人は
あなた以外には誰もいなかった
あの暖かい人は
あなた以外には誰もいなかった

夢の中で心を溶かしあいながら
少しずつ一つになって行く
あなたとわたしの間で
愛が灯火のように揺れている

愛している




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苺の秘密

2015-12-15 03:41:50 | 詩集・試練の天使

あげるよ あげるよって
言っていることにしなければ
いつも苺を食べている
自分が悲しくなってしまうから
いつも苺は
あげるよ あげるよって
言ってることにするんだね

たしかに 苺は
食べていいよって
言ってるけどね
でもね
いつまでもそれに甘えてちゃいけない

ありがとうって
ほんとうにありがとうって
苺に心から言わなければならない
だって苺がいなければ
どんなに生きることが寒くなるだろう

あげるよ ぜんぶあげるよって
苺は言ってるけどね
馬鹿だから当然だと思って
勝手にとっちゃいけないんだよ
やさしくしないとね
礼儀をしないとね
苺は馬鹿じゃないんだ
とってもかわいくて
かしこい生き物なんだよ




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