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世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

働く若い女

2016-08-21 04:12:31 | 霧の風景


フランソワーズ・デュパルク、18世紀フランス、ロココ、女流。

美しい絵だね。この時代の女性にはお針子くらいしか良い仕事がなかった。ほかのことを勉強することなどほとんどできなかったからだ。それも収入は微々たるものだ。女性は早く結婚するか、美貌を武器に金持ちの囲い者になるか、それができなければ苦界に身を落とすしかなかった。そういう世界において、こういう美しいお針子の姿は、まるで女性が心に描く切ない幻のようなものだ。自分の力で生きていくことができればそうしたいという、女性にとってはかなわぬものに近い願いなのだ。デュパルクについては、スペインで生まれてフランスで活動していたということしかわからない。だが画家は、自分と同じ女の運命を、このモデルに感じていたのかもしれない。






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ヘンリー・ジェイムズ

2016-08-20 04:13:42 | 霧の風景


ジョン・シンガー・サージェント、20世紀アメリカ、写実主義、印象派。

肖像画の歴史とは、人間の歴史である。描かれた絵の中に、人間が歩んできた心の歴史が見える。ヘンリー・ジェイムズは小説家であったらしい。それなりの業績を残しているらしいが、記憶にはない。上等なスーツに身を包み、かっこをつけているが、その眼の中には、自分以外のものになりたいという、人間の切ない焦りが見える。その心が小説という世界に向かわせたのかもしれない。そこでは自分を違う人間にすることができるからだ。






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メデューサ

2016-08-19 04:15:13 | 霧の風景


エリヒュー・ヴェッダー、20世紀アメリカ、象徴主義。

メデューサは特に悪いことをしたわけではなかった。ただ美しかったというだけで憎まれ、恐ろしい怪物にされてしまったのだ。人々は彼女を指さしては言われない噂を語った。あいつを見れば石になると。ペルセウスは英雄だということになっているが、本当は親に大幅に下駄をはかせてもらった若造でしかない。そいつはメデューサを殺し、アンドロメダを選んだ。メデューサは美しいだけでなくかなり賢かったからだ。アンドロメダは美しいが難しいことはできない頭の弱い女だった。要するに男は、本物の美女より偽物の美女を選んだのだ。そのほうが、自分の正体を見破られずに済むからだ。セックスも簡単にできる。アンドロメダを助けて結婚したペルセウスが、本当に幸せだったのかを語る神話はない。






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ポルティチから見たヴェスヴィオ山の噴火

2016-08-18 04:11:48 | 霧の風景


ジョセフ・ライト・オブ・ダービー、18世紀イギリス、ロマン主義。

ポンペイを破滅させたヴェスヴィオ山の噴火を描いた絵である。画家はイタリア旅行中に実際にこの山の噴火を目撃したらしい。自然の猛威というものを感じさせる絵だが、実際に、自然界の怒りというものは、こういう表現を持って表されることが多い。神の怒りの直喩である。ただの地球の造山活動と思ってはいけない。現象の裏には、必ず高い存在の意思があるのだ。人間はそれから、地球の心を感じねばならない。もはや子供ではいられないのだ。






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眠る羊飼い

2016-08-17 04:11:18 | 霧の風景


フランソワ・ブーシェ、18世紀フランス、ロココ。

休息だ。少し眠ろう。花や木の愛に守られて、しばらくやすらぐのもいい。夢の中で、愛するあの人に会えるかもしれない。現実の世界では、決して得られない幸福も、ひと時の眠りの中に現れる夢の中では、得ることができるのだ。眠りは、この世界に縛られて生きる者たちのためにある、神の恵みだ。疲れた時は眠ろう。何もかも忘れて、何も知らなかったあの頃にも戻れる。それも時にはいいのだ。






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前を向く聖母

2016-08-16 04:13:01 | 霧の風景


ジョヴァンニ・バティスタ・ティエポロ、18世紀イタリア、ロココ。

これは女性存在のよい面が表に出た姿である。これが陰るとき、ときに女性は老婆のように暗く醜く恐ろしいものになるのだが、そのような女性の奥にも、常にこのような優しくも美しい女性の美が隠れているものなのだ。悪いことをしていても、本当はよいこでいたいという気持ちが、女性の中では常にうずいているのである。それは彼女らの中に住んでいる永遠の聖母がささやく声なのだ。醜い姿は仮の姿なのだよ。悪いことをやめ、正しい勉強をし、女性らしいよいことをこつこつとやっていきなさい。その中で、だんだんと自分の奥から、本当の女性の美しさが表れてくるだろう。






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大きな赤い竜と海から来た獣

2016-08-15 04:15:40 | 霧の風景


ウィリアム・ブレイク、19世紀イギリス、ロマン主義。

黙示録から来たテーマであるが、この大きな竜と獣は、悪の限りをなす人間の迷いの姿である。人間は今こういうものになっているのだよ。竜には七つの頭と十本の角があり、獣にも七つの頭と十本の角がある。それは大勢の人間が一つの化け物になっているという意味だ。暴虐とは衆愚のことである。何も考えない馬鹿が大勢の力を借りていやなことをやり始めると、それは世界の美を食い尽くそうとする大きな悪魔になる。人間はそういうものになっているのだ。






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善き羊飼い

2016-08-14 04:15:20 | 霧の風景


ウィリアム・ダイス、19世紀イギリス、写実主義。

麗しいキリスト像である。イエスはこのように人類にとって父のように優しい天使であった。羊に手を差し伸べるように、あなたがたの弱い心を包もうとしていた。あなたがたを深く愛しているからだ。あなたがたは、このような、自然な愛を大事にせねばならない。最も愛してくれるという愛を、最も大事にせねばならない。あなたがたの間違いは、すべて、これを否定してしまったことにあるのだ。もう二度と、繰り返してはならない。






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男の習作

2016-08-13 04:15:49 | 霧の風景


テオドール・ジェリコー、19世紀フランス、ロマン主義。

理想は美しい。それがなければ生きてはいけない。だがそのためにやらねばならないことは何なのか。まずはそれを考えねばならない。一枚の大作を仕上げるために、習作を何枚も描くのだ。本物の男をやるために、実践を積むのだ。何もかもはそれから始まる。愛の真実がわかったのなら、そこに安住しているだけではいけない。何かをやり始めねば、本当にわかったことにはならない。生きなさい。やりなさい。ぶつかるのだ。失敗してもへこたれてはならない。馬鹿になって自分を目の前の壁にたたきつけなさい。
あなたがたは、やらねばならない。






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ノアの箱舟

2016-08-12 04:15:00 | 霧の風景


エドワード・ヒックス、19世紀アメリカ、ナイーヴ・アート。

地球上のあらゆる生き物が、救いの船に導かれようとしている。試練の嵐を乗り越え、愛の園を目指す希望の船だ。人間はこれを作らねばならない。ひねた小さい欲望を捨て、常識という名の腐れた檻を出て、神の声を聴き、新しい時代へと向かうために、人間は本当の自分を生きなければならない。それは、人間はいつか、地球上のあらゆる生き物を救うための愛にならなければならないという、美しい未来の約束なのだ。






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