日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

花見の旅in四国 2020 - ぼくさん

2020-03-21 23:18:43 | 居酒屋
全国屈指の酒呑み天国にもかかわらず、飲食店の営業時間は必ずしも長くないのが高知の特徴です。昼から呑める店は事実上「葉牡丹」に限られ、深夜の選択肢も決して多くはありません。時間的にも体力的にもこれが最後の一軒です。ならばここだと決めていました。トリを飾るのは「ぼくさん」です。
日本酒バーという業態からして、寄るなら最後になるのは自然な流れです。第二夜まで温存することについても迷いがありませんでした。この店で調子に乗って呑み過ぎた結果、翌日に響くという経験を複数回してきたからです。中日に車で活動するという行程を考えると、前日の酔いを残すことは許されず、行くなら今夜と決めていたのでした。
調子に乗ってしまう理由の一つとして、バーとしては過分なほどに充実した突き出しが挙げられます。呑兵衛をくすぐる肴が何種も盛り合わされる結果、必然的に酒が進み、終盤にもかかわらず盃を重ねてしまうのが当店での常でした。しかし、同じ失敗を繰り返したことにより、要領がつかめてきたとでも申しましょうか。突き出しは二品でいいと申し出ました。酒については店主の勧めに従いお試し三種セットなるものを注文。おまかせで50ccずつ三杯出て千円というのがその正体です。ガラスの猪口に注がれたのは、いずれも新酒の酔鯨、松翁、文佳人でした。一合当たりで千二百円と考えれば決して安くはないものの、同格の吟醸酒が半合で700円することを考えると、若干割安の設定です。序盤はともかく三軒目ともなれば、少しずつ味わう方が理に適っています。そのように思わせるのは、どれもしみじみ味わいたくなる名品だったからでもあります。高知の夜を締めくくるにふさわしいひとときでした。

ぼくさん
高知市帯屋町1-12-9
088-822-4535
-100AM(LO)
月曜他不定休

酔鯨
松翁
文佳人
しらぎく
突き出し二品(炒り豆腐・蛸ぬた)
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花見の旅in四国 2020 - 仙樹

2020-03-21 22:19:52 | 居酒屋
「くもん屋」にはどうにか滑り込めたものの、柳の下に二匹目のどじょうはいませんでした。「どんこ」は相変わらずの盛況です。看板の時刻を考えると、後々出直すという選択も許されません。今回は縁がなかったものと割り切りました。「一釣」はまたしても早仕舞いしており、昨日振られた四軒のうち二軒には返り討ちに遭うという結果に。腹は八分目、あるいはそれ以上に満ちており、「ぼくさん」に寄って締めくくれば十分ともいえました。その一方で、次の機会は一年後、あるいはさらに先かと思うと、さらに一軒欲張りたくなるのが人情ではあります。その一軒に選んだのは「仙樹」です。
かなりに一度訪ねただけとはいえ、好みに合わなかったというわけではありません。いつ訪ねても取り付く島がないほどの盛況で、再訪を試みてはその都度敬遠してきたのです。駅と繁華街の中間にある、飲食店の明かりもほぼない半端な場所で、それだけ流行るということは、当店の実力がそれだけ傑出しているということでもあります。
久々に再訪してみて思うのは、めくるめく場面の連続が当店の真骨頂ということです。縦長横書き三段組で裏表ある品書きには、酒呑みをくすぐる品々が隙間なく書き込まれます。それらはホワイトボードと短冊にも綴られ、カウンターには実物の食材が山積みにされ、目の前にある炉端で調理されるという仕掛けです。視覚的な楽しみという観点では、高知に数ある名酒場の中でも屈指といってよいでしょう。
その一方で弁慶の泣き所もあることに気付きました。酒が単調なのです。これは、たらふく食らいたい一軒目で最も真価が発揮されるということでもあります。とはいえ、少しでも出遅れれば取り付く島がないことについては述べました。これらの事実からすると、腹具合を十分に整え、開店を狙い澄まして入るのが、当店において最も手堅い攻略法といえそうです。

仙樹
高知市大川筋1-3-47
088-823-7769
1700PM-2300PM
日曜定休

土佐鶴
メシイカ酢味噌
沖ウルメ
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花見の旅in四国 2020 - くもん屋

2020-03-21 20:38:40 | 居酒屋
昨晩よりも開始が遅くなったことで、最も混み合う時間帯は過ぎました。その一方で、はしご酒も視野に入れると、目当ての店の看板が気になってくる時間帯でもあります。電話で一報入れたとしても気休めにしかなりません。四の五の言わず突撃する方針を立てました。こうしてまず「くもん屋」を訪ねたところ、カウンターの一番手前の二席分が空いていました。ただし早合点はできません。この空席に予約が入っていたとすれば返り討ちだからです。昨日にしてもそうでしたが、空席がある状況で振られたときの気まずさは何ともいえないものがあります。そう思うと一瞬躊躇せざるを得ません。しかし幸い杞憂に終わり、借りを返すという顛末です。
既に昨夜の段階で、連泊できることの効果は現れていました。一軒目の「おおい」でまず注文したのは鯖のたたきです。物珍しさにつられての選択でした。仮に一泊限りなら、鰹を選んでいたでしょう。その鰹が第二夜に満を持しての登場と相成りました。今が走りの初鰹と筍による、春の風物詩の競演です。

くもん屋
高知市はりまや町1-4-15
088-882-3819
1730PM-2230PM
日曜定休

南・美丈夫
突き出し二品(ポテトサラダ・茄子焼浸し)
鰹たたき
めひかり
たけのこ煮
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花見の旅in四国 2020 - 第二夜

2020-03-21 20:12:06 | 四国
100km少々走って高知に戻りました。投宿し、風呂から上がって一息ついたところです。
酒呑み天国の高知にあっては、自粛のお触れもどこ吹く風ということか、昨晩は四軒もの店に振られて面食らいました。連休中日は初日より空いてくるのが常とはいえ、観光客ではなく地元客で混んでいるのが明らかな状況だけに、それほど楽観はしていません。とりあえず「くもん屋」か「どんこ」に再挑戦するつもりですが、返り討ちに遭ったときは初見の店を試してみるのも一興でしょう。
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花見の旅in四国 2020 - 帷子崎

2020-03-21 18:48:13 | 四国
ツーリングマップルを手がかりに、目をつけていたのが雪割桜です。須崎の町外れ、小高い山の中腹に、寒桜が林立しているという触れ込みでした。しかし、未知数な部分もありました。見頃は三月中旬までとあったからです。それ以前の問題として日没が迫り、今更行っても日が陰ってしまいそうでした。見切りを付けて横浪黒潮ラインこと県道47号線を走り、帷子崎の展望台から太平洋を見渡しているところです。日没間際に若干薄雲が出始め、夕焼けの鮮やかさは昨日に及ばなかったものの、一瞬とはいえ太平洋を拝めただけでも十分です。急いだ甲斐はありました。
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花見の旅in四国 2020 - 牧野公園

2020-03-21 16:38:49 | 四国
ある程度織り込み済みではありましたが、宿毛へ行くなどと意気込んでおきながら、全く果たせないまま終わろうとしています。しかし、花見の旅の体裁だけは取り繕ったともいえます。佐川の牧野公園を再訪しました。
当地が生んだ植物研究の碩学にちなみ、中世の城址という小高い山の斜面に開かれた公園です。そのような来歴から様々な桜が植えられているため、ソメイヨシノの開花にはまだ早いこの時期でも、そこそこ楽しめないだろうかと考えたのでした。
こうして現地へ乗り込むと、いくら何でも早すぎたか、ほとんど咲いてはいませんでした。とはいえ、片手で足りる数ながらも見頃の桜はありました。つづら折りの遊歩道を登っていけば、眼下に佐川の市街が広がり、緩やかな弧を描きつつ町内へと入ってくる列車が見えます。五時前に来る列車まで撮ってから引き上げるつもりです。
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花見の旅in四国 2020 - 土佐加茂駅

2020-03-21 15:20:37 | 四国
伊野からは土讃線の沿線をたどります。定点観察がてら土佐加茂駅に立ち寄りました。蒲鉾屋根の小さな駅舎が独特です。
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花見の旅in四国 2020 - とり弁

2020-03-21 14:07:25 | B級グルメ
本日は朝昼ともにほっかほっか亭です。沿道に店舗が現れたため立ち寄りました。久々の一軒ならば迷うことなく豚のてりやき丼でしたが、二軒目ということになると趣向を変える余裕が出ます。選んだのはとり弁焼そば420円也。読んで字のごとく、四国での一番人気というとり肉弁当と、パスタ麺使用の焼きそばを組み合わせた一品です。開花にはまだ早いものの、桜並木が林立する仁淀川の堤に止めていただきます。
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花見の旅in四国 2020 - とさでん

2020-03-21 12:32:11 | 甲信越
高知市街から並走してきたとでん改めとさでんは、鏡川橋を出ると郊外電車の趣に変わります。朝倉の市街を行く狭い併用軌道も、旧国道の片隅を行く専用軌道も、万葉線の郊外区間とは違う独特の趣です。あれを撮れないものだろうかとかねがね思っていましたが、お誂え向きの場所がありました。高知と伊野の境を越えて坂を下ると、線路際に菜の花と山桜が咲いていたのです。道路としてはありふれた、しかし鉄道としてはかなりの急勾配を登る電車を、春の風物詩とともに切り取りました。
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花見の旅in四国 2020 - 思い出の場所

2020-03-21 11:15:08 | 四国
高知市街を出る前に寄りたい場所がありました。旭駅の裏手の山を訪ねます。
八年前に高知で花見をしたとき、最後に寄った場所がここです。高知から佐川の牧野公園へ向かう途中、駅の近くの小高い丘に桜が林立しているのを車窓越しに見て、帰りに寄ろうと咄嗟に思いつきました。こうして現地を訪ねたところ、桜の数こそ思ったほどではなかったものの、むしろ印象的だったのはそこでの出来事です。地元の方々がシートを広げ、大合唱をしながら宴に興じていました。 見晴らしがよいことを除けば何の変哲もない住宅地の小公園で、人々が豪快に酒盛りする様子を目の当たりにし、土佐っぽの気質をありあり感じたというのがそのときの顛末です。曲がりなりにも花見を主題にした今回、思い出の場所を再訪しようと考えたのでした。
七年も経てば記憶もあやふやになってきます。若干道に迷いながらもたどり着くと、丘の下が浄水場になっており、その門の脇に石段がありました。上った先が小公園です。桜はまだほとんど咲いてはいないものの、早咲きの枝が一本とはいえ開花しています。遠い日の思い出が甦る光景です。
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花見の旅in四国 2020 - ほっかほっか亭

2020-03-21 10:48:21 | B級グルメ
宿の朝食をいただくにもやぶさかではなかったものの、ひとまず一泊目については見送りました。代わりにいただきたいものがあったからです。ほっかほっか亭で豚のてりやき丼をいただきます。
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花見の旅in四国 2020 - 新車

2020-03-21 09:51:59 | 四国
車を引き取って出発します。本日の相棒はデミオ改めマツダ2です。走行距離は14km, つまり納車されたばかりの車です。レンタカーと中古車しか乗ったことのない自分にとって、正真正銘の新車は初の経験となります。
去年の今頃、長崎で世話になってからというもの、タイムズカーレンタルの世話になる機会が急増しました。決め手の一つとして料金があります。一日当たりの料金が他社より安いだけでなく、車格を上げたり、返却を翌朝まで延ばしたりしてもそれほど料金が上がらないため、他社との差がますます広がってくるという寸法です。その特権を活用し、今回は翌朝まで借りられるよう手配しました。場合によっては宿毛まで、往復300kmほど走る可能性もあるからです。深夜に戻ってくるつもりはないものの、営業所の閉まる時間を気にせず走れる安楽さを買ったとでもいえばよいでしょうか。千円単位で上がるならともかく、数百円の違いなら迷いはありませんでした。
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花見の旅in四国 2020 - 松栄第二別館

2020-03-21 08:33:53 | 四国
目的地を長崎から高知に振り替えるという芸当は、旅行者が激減している今だからこそできた芸当ともいえます。大型連休には及ばないものの、春分の頃の人出もそこそこであり、宿は事前に押さえておくしかないからです。これだけ宿が空いていれば、選択肢が多すぎて悩むかというとさにあらず。今回も松栄第二別館の世話になりました。
駅からも繁華街からもやや遠く、年季も入ってはいるものの、自分にとってはそれがよいのです。古びた和室の居心地も、窓の外に広がる鏡川の眺めもよく、部屋まで荷物を運んでくれるもてなしの精神も好ましいものがあります。自分にとってこれ以上の宿はありません。今夜もここへ舞い戻ることになりそうです。
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花見の旅in四国 2020 - 二日目

2020-03-21 08:16:29 | 四国
おはようございます。その後はさらに余勢を駆って屋台のラーメンをいただきました。宿に戻って倒れ込み、外が明るくなってきたのに気付いたのが七時過ぎです。しかしなかなか目が覚めず、起きたり横になったりを繰り返しました。朝風呂を浴び、ようやく本格始動するところです。
本日は終日滞在できる特権を活かし、レンタカーでの活動となります。前回と同じく西へ走るつもりです。西へ行くのは、桜が既に開花しているとの情報を当てにしてのことですが、その場所というのは150km近くも離れた宿毛であり、明るいうちに行けるかどうかは何ともいえません。それ以前の問題として、昨日訪ねた高知城の様子からしても、多くを期待できないのはよく分かりました。宿毛へ行くことについてはこだわらず、むしろ初見の場所を巡ることに重きを置き、寒桜か山桜でも観賞できれば上出来といったところでしょう。
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