関東一円はしご酒 2015初夏 - ぬる燗

小休止をはさみ、再びバスに揺られて浅草に戻りました。体力的にも本日はこれにて打ち止めとなるでしょう。最後の一軒に選んだのは「ぬる燗」です。
昨日訪ねた「庄助」と同様、ここも教祖の著作・番組に加えて、「酒場放浪記」にも登場した超有名店です。しかし、「志婦や」「○吉八」「居酒屋浩司」といったなじみの深い店に比べ、この店を訪ねた回数は必ずしも多くはありません。「丸千葉」のマスターと違い、愛想を振りまくような店主ではないだけに、ともすれば一見客にはとっつきにくい店です。この店のよさを理解するには、店主と顔なじみになるほど何度も通うしかないでしょう。しかるに、生活圏から外れた浅草の、それも駅から離れた観音裏にそう頻繁に通えるはずもなく、長らく無沙汰していたのが実情です。それにもかかわらず今回トリに選んだのは、「○吉八」がまたしても休業だったのに加え、最近移転した新店舗がいかなるものかについて興味があったことによります。

結論からいえば、前の店舗のよいところを極力そのまま残したということになるのでしょうか。南北方向の通りに面していたのが東西方向の通り沿いに移り、店先にあった破れ提灯は、屋号を入れた置行灯に変わりました。店は一から造ったものではなく、おそらくは小料理屋の類の跡地に居抜きで入ったと見え、カウンターなどはいかにも前からあったと思しきものです。しかし、観音裏の明かりもまばらな路地裏という立地は変わりません。十人も入れば満席になるL字のカウンターを掘り炬燵のように仕立て、その奥に小さな座敷を置いた店の造りは、明らかに前の店舗を意識しています。小耳に挟んだところによれば、水回りが老朽化するなどして、止むに止まれぬ移転だったとのことであり、店主としても前の店舗に対する愛着があったのでしょう。片隅に置かれたかつての店舗の写真を収めた額が、そのことを無言のうちに物語っているようでした。
このような状況だけに、カウンターの居心地は意外なほどに変わりません。しいて言うなら、改装したばかりの店内ということもあるのか、照明が若干明るめに感じられる程度でしょうか。都内にごまんとある銘酒酒場に比べれば、品数こそそれほどではないものの、古風なラベルの酒を中心に玄人受けする品々が揃い、それに合わせる肴にもさりげない季節感が込められています。「丸千葉」が酒云々を抜きにしてたらふく食うのに適した店だったのに対し、こちらは紛れもなく酒を味わうための店です。酒はもういいなどといいながら、冷酒、常温、ぬる燗と三合飲み干し席を立ちました。

★ぬる燗
東京都台東区浅草3-20-9
03-3876-1421
平日 1800PM-045AM(LO)
日祝日 1700PM-2230PM(LO)
月曜他不定休

ヤマサン正宗・開運・群馬泉
お通し(冷奴)
かつお塩たたき
夏野菜冷やし鉢

関東一円はしご酒 2015初夏 - 丸千葉

浅草で呑むと見せかけながら、奥浅草にやってきました。訪ねるのは「丸千葉」です。
先月訪ねたばかりという理由で「志婦や」を敬遠したにもかかわらず、そのとき訪ねた「丸千葉」を選んだのは、本日の体調によるところが少なからずあります。昨日呑みすぎたのがたたって、酒はもういいという気分になっていることもあり、呑むよりはむしろたらふく食いたかったのです。そのような向きには、浅草の店よりここが好適と考え、バスに揺られてきた次第です。
満席覚悟の人気店ではありますが、先客が出るところに重なり首尾よく着席。通されたのはU字に近いコの字をしたカウンターの厨房寄りで、正面にカウンターの反対側、右に厨房、背後にテーブルという位置関係になります。前回着席したカウンターの角が、店内を対角線上に見渡せる特等席だったのに対し、今回の席は眺めの点で一歩譲ります。しかし、これもあながち悪くはありません。客席を仕切るマスターの定位置に近く、常連客との掛け合いなどが耳に入ってくるからです。文字にすればかなり乱暴な物言いだというのに、それがむしろ微笑ましく感じられるのは、ぶっきらぼうな中にも愛のこもった毒舌だからなのでしょう。マスターにそこまで言われるようになって初めて、この店ではようやく一人前ということなのかもしれません。小窓の向こうの厨房で、大女将と店主と板前二人が仕事をこなす様子も観察でき、趣向を変える向きには上々でした。

★丸千葉
東京都台東区日本堤1-1-3
03-3872-4216
1400PM-2100PM
水曜定休

生ビール・菊正宗二合
カツオサシ
つくね
串かつ
ヤキタラ子
とん汁

関東一円はしご酒 2015初夏 - モスバーガー浅草店

浅草に着きました。三時には「志婦や」が開くため、まずここで一献傾けるのが順当というところ、あえて見送りMOSで小休止をとります。二日酔いというわけではないものの、昨日呑みすぎたこともあるのか、身体が今一つ酒を欲していないのです。要は先週末の高知と似たような展開です。しかも、浅草は先月訪ねたばかりで、「志婦や」にもそのときに寄りました。それだけに自ずと新鮮味には欠け、なおさら食指が動きづらいという事情があります。ある意味贅沢な悩みではありますが。
このような状況もあり、MOSでしばらく休憩をとり、多少なりとも回復してくるのを待ちます。これにより、二日にわたって浅草店に滞在できるばかりか、時間が経てば他の呑み屋が開いてくるため、選択肢も増えて一石二鳥という寸法です。

★モスバーガー浅草店
東京都台東区花川戸1-10-2
03-3844-1143
700AM-2300PM
第14号

関東一円はしご酒 2015初夏 - 6050系再び

宇都宮から乗車してきた8000系が走り去ると、同じホームに6050系の区間快速が滑り込んできました。日光、新藤原、会津田島と三つの駅を始発駅にした、堂々たる三階建ての六両編成です。会津田島からの編成が始発駅を出るのは10時20分。今やJRでさえ普通列車は編成、区間とも細切れにされ、接客設備もすっかり貧弱になって、長距離の乗車にはとても向かない代物と化している中、ビロード地のモケットを奢ったクロスシート車が、延々200kmを四時間かけて走るのは、奇跡といってよいのではないでしょうか。この列車で一度会津へ行ってみるのも面白そうです。

★新栃木1300/48レ/1425浅草

関東一円はしご酒 2015初夏 - 8000系再び

復路ももちろん東武経由を選択、8000系の普通列車で宇都宮を後にします。この列車に新栃木まで乗ると、日光・会津方面から来た6050系の区間快速に乗り継げるという寸法です。

★東武宇都宮1222/440レ/1256新栃木

関東一円はしご酒 2015初夏 - 来らっせ

そのようなわけで、まずはお約束の餃子をいただきます。昨日通りがかったときの並びようからしても、「みんみん」「正嗣」の本店は開店前から行列必至でしょう。雨の中そのような苦行に挑むつもりはもちろんなく、「来らっせ」へ11時の開店と同時に乗り込みました。
宇都宮の餃子が世間で騒がれ出してから、観光客向けに造った施設なのでしょう。しかし、軽薄な施設という先入観に反し、長崎屋の跡地に居抜きで入ったドン・キホーテの地下という立地が怪しげです。空き店舗が無残な姿をさらし、ところどころ壁紙まで剥がれたフードコートは、地方都市の衰退ぶりの縮図といった感があります。その片隅にもう一つのフードコートがあり、そこに餃子の専門店が五軒集まっていました。フードコートとはいっても、他の区画に比べて天井が低くて薄暗く、従業員用の施設か何かを改造したのかもしれません。テーブルと椅子も年季の入った木製のものが使われており、やはりフードコートと一括りにするには語弊があります。このような怪しさは自分の好むところです。
どの店を選んでもいいという状況を活かし、まずは手堅く「みんみん」を、残り四軒の中から「香蘭」と「さつき」を選び、それぞれ一人前ずつ注文。一人前が六個であることと、大きさ、価格設定はどれもほぼ同様ながら、餡を少なめにして空間を作り、小籠包のような汁気を持たせた「みんみん」、餡が多くて皮も厚めの「香蘭」、ニラ、ニンニクの風味を効かせた「さつき」と、各店舗の個性が明確に現れています。観光客向けだろうと懐疑的だったはずが、うらぶれた雰囲気を含め、思いがけない掘り出し物でした。

★来らっせ
宇都宮市馬場通り2-3-12 MEGAドン・キホーテ ラパーク宇都宮店 B1F
028-614-5388
平日 1100AM-2000PM(LO)
土日祝日 1100AM-2030PM(LO)
めんめん 月曜定休
香蘭 火曜定休
龍門 水曜定休
さつき 木曜定休
宇都宮みんみん 金曜定休

関東一円はしご酒 2015初夏 - 二日目

おはようございます。昨夜は「蔵元」に日付が変わるまで滞在し、その後カプセルホテルに泊まりました。もともと日帰りのつもりだった今回の活動ですが、宿泊費をかけた以上まっすぐ帰る手はありません。まずは昨日逃してしまった餃子をいただき、寄り道しつつ帰ります。もっともこの梅雨空では、寄り道するといっても昼から呑む以外の使い道が思いつかないのも事実です。 昨日散々呑み歩き、いささか疲弊していることもあり、ほどほどで切り上げるという展開はあるかもしれません。