日本列島旅鴉

風が吹くまま西東、しがない旅鴉の日常を綴ります。

色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 22:35:26 | 晩酌
キャンプ場に着きました。気温は15度で風は全くありません。晴れた曇ったはともかく、これで道内四泊のうち三泊までが絶好のキャンプ日和なのですから、その点では非常に恵まれています。
なんだかんだで今日も時間が押してきました。設営は後回しにして晩酌から始めます。献立はこちらです。旅も五日目を迎えると、そろそろ野菜不足で口の周りが荒れてくる頃です。今日は品数を絞り、野菜を多く採ることにしました。三日や四日の旅なら多少食生活が偏ろうがお構いなしだというのに、柄にもなくこんなことに気を使い出すのも、長旅ならではの一幕です。

サッポロクラシック
秋刀魚刺身
温野菜サラダ
寄せ鍋
うどん一玉
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 21:21:30 | 温泉
北海道に上陸以来、一日一湯温泉に浸かってきた今回の旅ですが、本日立ち寄るのは温泉ではなく銭湯です。キャンプ場の近くに温泉があるのは承知しながらも、今日は北国の町にある昔ながらの銭湯という情緒を選びました。
駅前を横切る表通りの一本裏手にある静かな住宅街の中の佇まいはもちろんのこと、番台、脱衣所、浴場の造りも全て予想通り。あっと驚く仕掛けはないものの、そんな市井の銭湯で一風呂浴びるのが目的だったのですから、今日はこれでよいのです。

★日の出湯
名寄市大通南10丁目
01654-2-3740
1500PM-2130PM(日曜定休)
入浴料420円
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 20:29:30 | 北海道
ここで再び今更ながらの新発見です。名寄も「条」と「丁目」の関係が札幌とは逆でした。道東の帯広、道央の美唄に道北の名寄と、なぜ局地的にこのような変則型が出現するのかが不思議ではあります。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 20:06:20 | 北海道
まずは聖地巡礼です。道北の風物詩、西條の本店で買い出しを済ませます。刺身にありつけず妥協を強いられた昨日に対し、今日は道産の秋刀魚の刺身を押さえました。これに具だくさんの寄せ鍋を組み合わせればまさに完璧です。今夜はセイコーマートに寄る必要はないでしょう。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 19:18:54 | 北海道
さて、本日もわずか50kmという亀の歩みにより、稚内まで200km弱の距離が残ってしまいました。既に道内での残り時間も見えつつあり、この先どう動くかを考えなければなりません。今のところ選択肢は大きく分けて二つあります。そのまま稚内を目指して北上するのが一つ、進路を東に変え、紋別から網走方面に下りるのが一つです。稚内まで往復しても、網走方面を経由しても、最終的に旭川へ戻るならば距離に大差はありません。これまで北を目指して進んだだけに、そのまま稚内まで走りたいという気がしなくはないものの、名寄を過ぎると道北は淋しくなる一方だけに、道東へ回るのも悪くはないでしょう。どちらへ行くかは明日目覚めたときの気分次第で考えます。

現在の気温は19度と昨日以上に暖かく、これなら今日も迷うことなくキャンプができます。市街の近くに無料のキャンプ場があるのも昨日と同じです。ただし、士別のキャンプ場ほど近くはないため、今日は風呂と買い出しを先に済ませてから向かいます。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 18:17:16 | 北海道
その後天塩川の河原で夕空を眺め、昼の部は終了と相成りました。午前の一時だけ晴れるといわれていたはずが、蓋を開ければ日没までほぼ晴天だったのは幸運でした。さらに朗報なのは、明日以降もおおむね晴れると予想されていることです。天気がよすぎて先へ進まないという懸念はさておき、これなら最後まで北海道の旅を満喫できるでしょう。
今日の夕日は五時前には山の彼方へ沈んだような気がします。山といってもそれほど高い山ではありません。つるべ落としの秋の日が、北上したことによりなおさら早まっているようです。出発以来の好天だったこともあり、今日の夕景はことさらに印象的でした。息を呑むほど鮮やかな色合いは、空気がきれいでなければあり得ないもので、内地ならば太平洋側で冬場に何度か出現する程度でしょう。しかし北海道では、道中に一度はこの手の空が出現するような気がします。今回は五日目にしてようやく待ち焦がれた場面に遭遇しました。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 16:40:58 | 北海道
駅舎もよいのですが、道を挟んだ反対側にこれまた見事な眺めが。田圃が一面に広がり、正面の山の手前に赤いマンサード屋根をかぶった小屋が二つ並んでいるのです。少し離れたところにあるそれほど高くもない木の影が、これほどまでにと思うほど長く伸び、黄金色の絨毯を横切っていきます。稲穂の色づきも、夕日の弱々しさも、影の長さもまさに晩秋です。気温はともかく、それ以外については深まる秋を実感する場面が日に日に増えてきました。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 16:25:03 | 北海道
239号線に入って興部方面へ少し走り、中名寄までやってきました。目当てはこの地に残る旧名寄本線の小さな駅舎です。
かの宮脇俊三氏の著作によって「廃線めぐり」がにわかに脚光を浴びた十数年前、自分もこの分野にすっかりはまったことがありました。中でもたびたび通ったのが名寄本線とその周辺で、今なお残る上興部、中興部の駅を始めとして、めぼしい遺構は相当数見て回ったものです。しかし、何度か足を運んだにもかかわらず、この中名寄駅にはどうしても立ち寄ることができませんでした。というのも、当時は運転免許を持たず汽車旅一辺倒だったため、夜行列車で未明の遠軽駅に降り立って始発のバスに乗るという行程をとっており、その結果名寄へ近づく頃には日が暮れてしまい、中名寄は泣く泣く素通りせざるを得なかったわけです。今回は十数年来の宿願達成と相成りました。

駅舎といっても、正確には待合室というべきものです。道内各地に点在する貨車駅舎は、国鉄末期に余った貨車で造られたものですが、それより少し前にも、やはり簡易な待合室が道内で集中的に造られたことがありました。ここにあるのは道北地区にいくつか造られた規格形の待合室の一つなのです。道東に同じ理由で造られた待合室が、今なおいくつか現役で残っているのに対し、この道北型というべき待合室のほとんどは、路線の廃止によって運命を共にしており、現役で残るのは自分の知る限り一つしかありません。しかし不思議なことに、この待合室の中には路線の廃止後もそのまま残ったものが多く、特に中名寄は当時の姿のまま残っていることで愛好家には知られた存在です。
このような由来を持つ駅舎だけに、それ自体はきわめて無機質なものです。実際のところ、昨日今日と訪ねてきた手作りの待合室に比べると、建材が明らかに安っぽいなど、近年濫造される東日本の待合室にも通じる味気のなさがありありと感じられます。しかし、十数年間来の宿願を果たしたのですから、そんな野暮をいうのはやめにしましょう。

かくして訪ねたこの駅ですが、何一つ変わらぬ姿で残る待合室に対し、それ以外は何もかもがうたかたのように消え去っていました。待合室の背後にあったであろうホームはもちろんのこと、駅の前後の路盤も切り崩されて農地と一体化しており、事前に知らなければここを列車が走っていたとは到底気付かないでしょう。
自分が列車とバスを乗り継いで沿線を訪ね歩いた当時は、駅舎こそほとんど取り壊されたものの、所々にホームと鉄橋などが残り、延々続く路盤から、ここに線路があったことを明確に認識できたものです。しかし、この路線も来年で廃止からはや四半世紀、それだけ時間が流れれば、かつての遺構が跡形もなく消え去るのも無理はありません。もう知る由もない在りし日の姿に思いを馳せつつ、夕日を浴びた小さな駅にしばし佇みます。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 15:42:00 | 北海道
キマロキもさることながら、これまた見事なのが名寄の駅舎です。二段に分かれた雪止め付きの厳つい屋根に、北海道らしいマンサードのファサードを三つ並べた立派な駅舎は、道北の要衝として栄えた昔を偲ばせます。町の規模については士別と比べて大差か内容にも思えるものの、駅の風格だけは名寄の方が断然勝っています。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 15:12:05 | 北海道
名寄に着きました。かつては二つの本線を含む三路線が集った道北の要衝である名寄には、是非とも訪ねておきたい名所があります。名寄公園の「キマロキ編成」です。機関車、マックレー、ロータリー、機関車とつないだ往年の排雪列車を、かつて名寄本線が走った線路上に再現したのがこの編成で、道内に保存車両は数あれど、堂々たる編成をなしているという点では、三笠駅のキハ80形6両編成と双璧をなすといってもよいでしょう。
以前訪ねたときは、曇り空で特にどうということのない眺めだったのに対し、適度に雲が浮かんだ空に機関車二両を含む堂々たる編成が抜ける様子は実に見事です。左に緩いカーブを切りつつ勾配を登るという線形がまたよく、名寄本線在りし頃の情景が偲ばれます。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 14:12:10 | 北海道
風連市街に入りました。字面も響きも美しい、心惹かれる北海道の地名の一つです。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 13:36:56 | 北海道
続いてはお隣の瑞穂駅に立ち寄ります。停まる列車は一日わずか四往復、板きれのホームに簡素な待合室があるだけの、吹けば飛ぶような駅の典型といってしまえばそれまでです。しかし、赤く塗られた待合室には「みずほ」と手書きされた琺瑯看板が左右一対掲げられ、手前の花壇には色とりどりの花が咲きそろって、これが意外なほど絵になります。東日本で濫造される素っ気のない待合室ならこうはいかないでしょう。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 12:44:30 | B級グルメ
適度に腹がこなれてきたところで駅前にそば屋があったため、こちらでお昼をいただきます。先へ行けば行くほどセイコーマート以外の選択肢がなくなるという事情に加え、この時期の北海道なら新そばがいただけるのではないかという期待もあり、本日は趣向を変えることにしました。
国道と駅前通の交差点に面した建物は、古い床屋を居抜きで使ったかのような小洒落た玄関を持ち、二重になったその玄関をくぐると、テーブル三つと間に合わせのカウンターだけの小さな店内で、頭巾をかぶった若い店主が一人で営業しています。多寄産の粉を使ったもりそばは、700円にしては十分なほどこんもりと盛られて、五穀米の俵むすびとともに運ばれてきました。並でこれなのですから、それぞれ100円増しの中盛、大盛、特盛などを注文すればどうなってしまうのでしょうか。店主のそばに対する愛情が伝わってくるよい店でした。

淳真
士別市多寄町36線東3
0165-26-2302
1130AM-1500PM(売切御免)
たよろもりそば700円
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 12:22:03 | 北海道
結局午前一杯消費しながら10km少々しか進みませんでした。まあ焦っても仕方がありません。この後も風に任せて北上します。続いて訪ねるのは士別の二つ隣の多寄駅です。
昨日訪ねた剣淵と同様、駅の建物自体どうということはありません。しかし、何もない直線路をしばらく走ると農業倉庫、駅前食堂とわずかばかりの商店が並んだ小さな町が現れるという光景は、いかにも道北らしい旅情に満ちています。
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色づく秋の北国へ 五日目

2013-10-02 10:51:13 | 北海道
士別市街を出て北上を始めました。しかし眺めがよすぎて先に進みません。何のことはない、北海道ではごくありふれた農村の光景なのですが、緑の絨毯の向こうで山の稜線が左下から右上へと流れ、それに合わせるかのように絹雲が右に向かって流れる様子などが非常に絵になるのです。それ以外にも黄金色に染まった稲穂が頭を垂れたり、季節外れのひまわり畑が広がったりと、適当に走っていても飽きることがありません。一昨日、昨日と似たような景色の中を走りながら、もし晴れればどれほど見事な眺めかと想像していただけに、待ち焦がれた場面がようやく訪れたといった感があります。
気温は朝方より少し上がって18度、この分だと20度は確実に超えるでしょう。日差しを受けると首筋から汗が流れ、10月の北海道は思いの外暖かいというのが実感です。しかし、綿のように大きな雲がいくつも浮かぶという自分の知る北海道の風景に対し、絹や鱗のような雲には季節の違いが感じられます。中盤を迎え、旅はいよいよ佳境に入ってきました。
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