monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

「袖の月(月影)」「袖の滝(滝つせ)」用例

2017年10月06日 | 日本国語大辞典-さ行

 「袖の月/月影」という用語は日本国語大辞典・第2版では、『嵯峨のかよひ』(1269年)からの例が早いのですが、もっとさかのぼる用例があります。

野辺の露浦わの浪をかこちても行へもしらぬ袖の月かげ
(41・御室五十首、藤原家隆、旅、600)
『新編国歌大観 第四巻私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、622ページ

 「袖の滝/滝つせ」という用語は日本国語大辞典・第2版では、『新拾遺和歌集』(1364年)からの例が早いのですが、100年以上さかのぼる用例があります。 

いつまでか袖(そで)のたぎつ瀬(せ)おろかなる涙の玉といひけたれけむ
(巻第十一・恋歌三、2329)
『万代和歌集・下(和歌文学大系14)』安田徳子、明治書院、2000年、32ページ

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衣更え(その2)

2017年10月01日 | 着物/和服

 日本国語大辞典・精選版の「ころもがえ」の項は、以下のとおりとなっていました。

中古以降のころもがえは以下のとおり。
四月一日から冬の小袖をやめて袷にかえ、寒い時は下に白小袖を用いる(白重シラガサネ)。
五月五日から帷子を着、涼しい時は下衣を着る(一重がさね)。
八月十五日から生絹(すずし)にかえる。
九月一日から練絹(ねりぎぬ)に着かえる。
江戸時代は、四月一日に夏の衣にかえ、十月一日に冬の衣にかえるようになった。

 着物(長着)の襲(かさね)は雑誌や着物本などで見たことがありますが、羽織の襲もあるらしいです。
 近藤富枝「きもの名人」(河出書房新社、2012年、37ページ)によると、久邇宮家で裁縫や手芸の指導をした宮川鈴という方の遺品の中に、羽織の二枚がさねの雛型があるという。身頃は二枚、袖は袖口と裾が比翼なのだとか。襟は別々。綿入れ。
 綿が入っていたということは、寒い時期のものということですね。
 最近、マンガか雑誌を読んでいて目にしたのが、歌舞伎の男性の役柄で二枚羽織を着ているらしき描写。色柄も書いてあって、「メモしておこう」と思ったのですが、結局何に書いてあったのか、分からなくなってしまいました。

 昔はコートに該当するものはなかったでしょうから、羽織を重ねる着方は防寒としては実用的なのかもしれませんね。機会があれば試してみたいです。その際は衿は一枚ずつ折るのではなく、二枚の羽織いっぺんに折るのかな?

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