「袖の月/月影」という用語は日本国語大辞典・第2版では、『嵯峨のかよひ』(1269年)からの例が早いのですが、もっとさかのぼる用例があります。
野辺の露浦わの浪をかこちても行へもしらぬ袖の月かげ
(41・御室五十首、藤原家隆、旅、600)
『新編国歌大観 第四巻私家集編2 定数歌編 歌集』角川書店、1986年、622ページ
「袖の滝/滝つせ」という用語は日本国語大辞典・第2版では、『新拾遺和歌集』(1364年)からの例が早いのですが、100年以上さかのぼる用例があります。
いつまでか袖(そで)のたぎつ瀬(せ)おろかなる涙の玉といひけたれけむ
(巻第十一・恋歌三、2329)
『万代和歌集・下(和歌文学大系14)』安田徳子、明治書院、2000年、32ページ