monoろぐ

古典和歌をメインにブログを書いてます。歌題ごとに和歌を四季に分類。

英和出版社の「よくわかる日本の七十二候」

2014年11月08日 | 七十二侯

 今年の記事として書いてきた七十二候については、英和出版社の「よくわかる日本の七十二候」(2013年12月1日発行)記載の日付等を参考にしているのですが、間違いや不適当と思える箇所があるので、指摘します。

 86ページ「立冬・初候・山茶始開」記載の和歌が「橘の花散る里のほととぎす片恋しつつ鳴く日しぞ多き(大伴旅人)」となっています。
 これは初夏の歌であり、不適当だと思います。「椿」と「橘」を勘違いしたのでしょうか。それにしても、「ほととぎす」を立冬の頃に持ってくるのは、ありえません。

 もう一か所、たまたま見つけた間違いは、38ページ上部の四季を示す英単語。「SUMMER」となるべきところが、「SPRING」となってます。

 そのほかにも、「なぜこの和歌がここに配置されいているの?」と不思議に思うところが幾つかあったので、書いてみます。

 51ページの「大暑・次候・土潤溽暑」のところに「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣干すてふ天の香久山(持統天皇)」が掲載、また解説文に「旧暦8月1日の八朔」について書いてあります。
 そもそも、この和歌は立夏の頃の歌なので、この場所に持ってくるのは不適当ではないかと思います。
 また、八朔について書くのは、せめて「秋」になってからにしてほしい。新暦の8月1日のところに書かないでほしいな~と思いました。

 62ページ「立秋・初候・涼風至」のところに掲載されている歌も、季節がずれています。「風そよぐ楢の小川の夕暮は御禊ぞ夏のしるしなりける(従二位家隆)」という百人一首でも有名は和歌が載っていますが、この歌は秋ではなく「夏」の歌です。この歌は旧暦六月晦日の夏祓のことを歌った歌とされているはず。

 97ページと98ページに同一俳句「古寺やほうろく捨る芹のなか(与謝蕪村)」が載っているのも、間違いなのでしょう。

 102ページ「大寒・次候・水沢腹堅」に掲載の和歌「昨日こそ秋は暮れしかいつのまに岩まの水のうすこほるらむ(藤原公実)」の歌は、初冬の歌なので、この場所に採用するのは不適当かなと思います。