牛込日乘

日々の雜記と備忘録

Citizens of Science

2007-12-05 00:29:19 | Weblog

 小学校の頃は理科が好きで、学研の「科学」が毎月の楽しみだった。中学でも成績は良かった(特に力学)。しかし高校に入ってからはちっとも、というより積極的に勉強せず、特に物理では赤点をとったりしていた。思うにこれは急に色気づいたためで、部分的にドロップアウトすることで「点取り虫じゃないんだぜ」というポーズを見せていたのである。

 まあ、どっちにしてもアホである。

 私が子供の頃は、「科学」という言葉には何かよきもの、かっこいいものという価値観が生きていた。(♪ラララ科学の子……というほど古くないが、何しろ科学忍者隊(!)ガッチャマンだ。)それが何となく野暮ったいものに感じられてきたのは八〇年代半ば以降――つまり私の高校時代と重なる――のことで、バブル経済直前の成熟した消費社会が始まった段階と一致する。

 何か理詰めで科学の難題に挑戦したり、ものづくりに励んだりするのが「ダサい」ことで、高度消費社会の恩恵を享受するのがスマートな生き方であるという価値観が支配的になったこの頃から、日本人の理科離れが決定的になったのだろう。典型的な文系職業に就いている私が言うのも気が引けるが、これは何も産業界だけでなく、日本の社会全体に対してじわじわと悪い影響を及ぼしつつあるように思う。

 科学というのはユニバーサル(普遍的)な事実によって構成されるので、学習や仕事の面でも国籍を問わない。グローバル社会をサヴァイヴしなきゃいけないビジネスパーソン諸兄姉も、表層的なコミュニケーションのための「英会話」やら「空気を読む」技術やらにうつつを抜かすよりも、むしろ一見イケてない科学的教養を身につけることに力を入れた方がいいかもしれない。

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<国際学力調査>「理科に関心」最下位 数学的活用力も低下

12月4日18時25分配信 毎日新聞

 経済協力開発機構(OECD)は4日、57カ国・地域で約40万人の15歳男女(日本では高1)が参加した国際学力テスト「学習到達度調査」(PISA)の06年実施結果を発表した。学力テストで、日本は数学的活用力が前回(03年)の6位から10位となり、2位から6位に下げた科学的活用力と併せ大幅に低下した。また、理科学習に関するアンケートで関心・意欲を示す指標などが最下位になり、理科学習に極めて消極的な高校生の実態が初めて明らかになった。

 ◇57カ国・地域が参加

 調査には、前回より16多い57カ国・地域が参加。日本では無作為抽出された高校1年の約6000人が参加し、学力テストでは「数学的活用力」「読解力」「科学的活用力」の3分野を、アンケートでは、理科学習への関心・意欲などを調べた。

 日本の数学的活用力は前回534点から523点に低下した。特に女子が男子より20点低く課題が残った。また、読解力は前回と同じ498点だったが、順位を一つ下げ15位となった。8位から14位と落ち込んだ前回と同様、OECD平均レベルではあるが、改善しなかった。科学的活用力はOECDが先行して公表しており既に前回548点から531点に低下したことが分かっている。

 関心などのアンケートでは、理科を学ぶ「動機」や「楽しさ」などについて、それぞれ複数の項目を尋ねた。このうち「自分に役立つ」「将来の仕事の可能性を広げてくれる」など、「動機」について尋ねた5項目では、「そうだと思う」など肯定的に答えた割合がOECD平均より14~25ポイント低かった。これらを統計処理し、平均値からどれだけ離れているかを「指標」にして順位を出したところ、日本は参加国中最下位だった。

 また、科学に関する雑誌や新聞などの利用度を尋ねた「活動」の指標でも最下位。科学を学ぶ「楽しさ」を聞いた指標も2番目に低かった。こうした関心・意欲の低下が順位の低下につながった可能性もあるとみられる。【高山純二】




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