「自己」責任の名の下に、自分を安全地帯においたまま危機にある「他者」を責めるという態度は、どうにも胡散臭い。
そもそも、自己責任という言葉は基本的には自分に対して発するもののような気がする。また、他者に対して使うときは、「これからすること」について言うのであって(<ここから先は自己責任でお願いします>のように)、他人が既にしてしまったことに対して自己責任という言葉を無闇に使うのは、どうも品性にも知性にも欠けるように思う。
調べていないから分からないが、自己責任という言葉が頻繁に使われるようになったのは一九九〇年代後半以降からではないか。 国が貧しくなると、自分が努力して上を目指そうという健全な上昇志向は成り立ちにくくなる。他者を貶めることが相対的に自己の上昇につながるという勘違いが増えていることが、この国が知的にも経済的にも退潮を招いている原因の一つなのではないか。
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