とりあえず法律・・・・かな?

役に立たない法律のお話をしましょう

幼児の水路・池への転落

2012-06-24 01:42:00 | 指定なし

 なんと,3歳児,4歳児,5歳児が,用水路や池に転落して水死するという事故が,3件も連続して報道された。3歳が秋田県仙北市で用水路に,4歳が福島県郡山市で養殖池に,5歳が福岡県筑後市で用水路に,それぞれ誤って転落したということのようである。


 


 4歳児の事件は,養殖池の経営者の家族のようだし,柵があったのに,その隙間から入り込んだようなので,公共の用水路に転落した他2件とは,少し中身が違うようだが,どっちにしても,毎年のように,幼児の転落事故は,絶えることなく報道されている。


 


 そして,その度に問題になるのが,用水路の管理者の営造物責任であったり,土地工作物責任である。


 


 営造物責任とか土地工作物責任は,殴ったとか,交通事故とか,医療過誤といった不法行為とは違って,その物が,通常有すべき安全性を欠いているかどうか,という基準で判断される。


 


 そして,農業用水路の場合,これが特に難しい問題を生じる。というのは,農業用水路は,たいていの場合,平地に,特に柵をしたり,蓋をしたりせずに,オープンな形で存在している。大雨があったり,田植え時期になると,結構な量の水が流れている。また,川の上流に堰を設けて下流の水田に水を流す用水路の場合には,山の斜面に水路を設けて,相当の流速で水が流れている。


 


 こういう水路には,今は余り見かけないが,昔はザリガニとか,いろんな生物がいて,子供の心を誘っていた。山の斜面に造られた用水路など,大人でも斜面で足を滑らせれば一巻の終わりといった感じがする。要するに,普通の感覚では,(都会人の感覚かも知れないが)明らかに危ない。


 


 では,子供が落ちたら,用水路の管理者は損害賠償責任を負うべきではないか,とも考えられる。こういう訴訟は,昔から提起されてきており,用水路の管理者の責任を認めた判決も多数ある。


 


 しかし,ここがまた難しいところで,水田地帯の用水路のすべてに柵がされたり,蓋がされていたらどうなるか。そんな用水路は,使いにくいことおびただしい。用水路の管理は,結構複雑で,水を流したり止めたり,その水を,どこでせき止めて,誰の田んぼに水を入れるかとか,細かく取り決められている。草取りや,底さらえなどの管理も欠かせない。そう考えると,用水路は,オープンなのが当たり前,それが通常の姿であって,たまにしかない幼児の転落を防ぐために,全面的に柵をしたり,蓋をするのは,過剰だという議論も成り立つ。


 


 幼児も,幼児なりに危険から身を護るのは当然であって,それができないのであれば,親がしっかり監督すべきだという視点もある。


 


 ここから派生して,田舎の子は,用水路が危ないことは教えなくても知っている。都会の子は護られすぎていて,危険を知らない,そんなのは親の責任だ,という議論にもなる。


 


 この辺りの議論は,議論をし出すと,本当に尽きないものがある。


 


 なかなか簡単に結論を出すことはできない。


 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿